黒猫

□黒猫
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「ならいいんだけど…。真選組の人には言ってないけどね、鈴は旅行に行ってるんだよ」



「旅行?」



「友達が誕生日のお祝いをしてくれるらしくてね。私も鈴が帰って来たらご馳走作ってあげないとねぇ」




友達なんて居ねェって言ってたくせによ…


助けて欲しくねぇだと?



「ガキはガキらしく泣いて助け求めやがれってんだ」




――――――――
――――――





「――鈴ちゃん…居ないみたいだな」



ボロアパートの扉の前で山崎は溜め息混じりに言った



副長は機嫌悪いし、沖田隊長もいつにも増してサボってばっかだし、局長は泣き付いて来るし…



みんな君のせいなんだよ



俺だって、




「傷の手当ては女中さんがやったんだよとか、俺が見たのは裸じゃなくてバスタオル姿だって副長達に言ってくれとか…言いたい事、いっぱいあるのになぁ」





「――帰らなくていいのか、鈴」



『いいの。もし今捕まったら当分出て来れないと思う。…貴方も困るでしょ?』




襖を開ければかぶき町のネオンが視界いっぱいに広がった――




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