眠り姫の夢
□俺の左手
1ページ/4ページ
「なぁ名無しさん」
後ろから呼びかければ
ビクッと肩を揺らしたがその表情を俺に向ける事はなかった
『な、何?サスケ…っ』
そして聞こえた声も
どこか不自然さを感じた
名無しさんは木ノ葉の忍だ
三年前…
全ての想いを断ち切って里を抜けようとしていたあの日――
『サスケ…?こんな夜中に何処行くの?あ、分かった。私と一緒で散歩でしょ?』
無邪気に笑う表情に
断ち切ろうとしていた名無しさんへの想いが一瞬揺れ動いた
そして名無しさんを連れて来てしまった
あの時の俺はガキで
自分のワガママだけで
名無しさんを抜け忍にさせてしまった
名無しさんは何も言わずついて来てくれて
ただ俺の側で笑っていてくれた
だけど最近
名無しさんの様子がおかしい
もしかしたらあの夜…
掴んだ俺の手を拒めずについて来てしまった事を
後悔しているのかもしれない
.