黒猫
□黒猫
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『はい、これ…』
片目の男に先程盗んだばかりのお金を渡す
「クク…助けてやった割には随分と少ねェな」
『こんなか弱い小娘から金取っといてよく言うよ…それに助けてもらった覚えないんですけどっ!』
「か弱い、ねェ…盗んだ金のクセに随分な口だな」
『煩いなッ…』
「じゃあ、次会った時は続き…しようや」
『馬鹿言わないでよっ!アンタとはこれでおさらば!次なんてのはないッ』
フンッと思いっきり顔を反らすと路地裏から出るべく歩き出す
「――鈴」
『呼び捨てにしないでよッ…!馴れ馴れしい』
「俺の名前は晋助だ…」
そう言って妖しく笑う片目の男
『っ…!じゃあね、晋助』
強い口調で言うと後ろを振り返らずに路地裏を出て行く
「最初会った時は脅えた目してた癖に…おもしれェ女」
そう呟くと暗い路地裏へ消えて行った
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