黒猫
□黒猫
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「食欲ないアル…」
「飯三杯もおかわりしといて食欲ないだぁ?気のせいだよ気のせい」
「でもいつもはその倍は食べてますよ…」
お茶を啜りながら新八が言った
「いつもが食べ過ぎなんだ。そんくらいで丁度いいだろ」
「今日も鈴に会えなかったネ…」
「ンあ?誰だって?」
「この間公園で仲良くなった女の子ですよ。」
「酢昆布食べ放題約束したアル…」
鈴はかぶき町に向かって屋根の上を飛んでいた
手には小さな袋を持って
『思ったより時間掛っちゃった。ここからだと一度家に戻るよりそのまま行った方が早いよね…』
そう呟くとスピードを上げた
ふと下を見渡せば赤い光がいくつも見える
『最近パトカー多いな、物騒ねぇ…』
時刻は深夜二時――…
『さっさと済ませて帰ろう…』
二階の窓の僅かな縁に足を掛け
細い針金で窓を開けた
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