君に続く道A

□第28話 本選開始
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本選の会場はまだ始まってもいないのに異様な熱気に包まれていた




『嵐と流どこかな…』







朝早くいい席を取るんだと出て行った二人の気配を探っていれば




突然腕を掴まれた




『(カブ兄ッ…!?)』





瞬時にそう思った凛はすぐさま後ろを振り返り



意外な人物に目を見開いた




『キバっ…』


「あのよぉ、その…」





キバは凛の腕を掴んだまま目を逸らす



『なに?キバ…』


「…この間、何で――」



「凛ーー!!」




大きく呼ぶ声が聞こえキバはパッと腕を離した



聞こえた声に視線を向ければ嵐がこちらに向かって手をブンブンと振っている




『キバ、何?早くしてよ』


「いや、やっぱなんでもねぇ…!!」



『……?』




怪訝な顔をしながらも凛は階段を降りて行く




「――なんでこの間…泣いてたんだよ…っ」





凛がハヤテの死を受け入れられず病院を飛び出して行ったあの日――



ぶつかった相手はキバだった




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