向日葵日和
□向日葵日和
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「――話聞くっつったけど…物騒だろうが」
天火の呟きを聞きながら
杏は草履を脱いで部屋の中へと上がる
『大津は物騒?』
「…いや、俺が護ってるからな」
その答えにニッコリ微笑む
『ま、天火に護ってもらわなくても私は強いけど。なんなら試してみる?』
挑発的に投げ掛け
着物に忍ばせた小刀に手をかけた
「試さねぇ」
あっさり返され
こっちのやる気さえ消え失せる
天火らしさに小さく笑って
お猪口を奪い取った
『なら乾杯しよ?十一年振りの再会に』
「はぁ?未成年が何云ってんだ。お茶にしろお茶ァ」
『……天火…。私、お酒呑める歳なんだけど?』
笑みを含みながら返せば
驚いたように目を丸くする
出会った頃はお互い子供だった
あれから十一年――…
私は二十歳を迎えていた
過ぎ去った長い年月を
改めて実感する
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