向日葵日和
□向日葵日和
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「…ぐす…っ」
赤い神社の鳥居
そこに続く長い石段の真ん中に座り込む宙太郎
「空兄…まだ怒ってるかな…」
ぽつりと呟いていると
聞こえた足音と見えた影
顔を上げた瞬間
「坊主曇天の三兄弟じゃろ…ちょいと獄門処まで案内してくれんじゃろか」
見下ろす長いマフラーを頭から巻いた男
「え…誰?」
驚きながらも問い掛ける
「新政府(おかみ)から頼まれてのぅ。獄門処に持って行きたいもんがあるんじゃが…橋渡し頼まれてくれんかね?」
鮫のように尖った歯でニッと笑う
「でも…今日は仕事ないって天兄が」
「おかしいねぇ伝わってないんじゃろか」
「(おかみの人?でも…)」
纏う雰囲気に何かを感じ取りまじまじと見つめる
「渡してくれへん?」
「ダメっス!天兄の許可がないと無理っス」
ふいっとそっぽを向く
「お兄ちゃんが云えば聞くんかいね?」
「そうっス!天兄が絶対っス!」
「君ら三兄弟の事は噂で知っちょるよ。県外でも有名じゃ、仲良えねぇ」
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