最後の恋
□05話
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『トーシ!』
朝稽古が終わり道場を出た土方の目に映ったのは
着物を肘まで捲り上げた
白いカゴを抱える葵の姿だった
だけどその顔はいつものウザすぎる笑顔じゃなくて
ちょっとむくれたような怒った表情
土方は不思議に思いながらも眉間に皺を寄せた
「んだよ…」
『とっちゃんて、誰ですか?』
理解出来ない言葉
というより聞き覚えのない名前
『昨日聞くのつい忘れちゃって!あー思い出して良かった。で、誰なんですか?』
「知らねーよ、んな名前の奴」
頬を膨らませて見上げて来る葵に低い声で返した
『しらばっくれても駄目ですからねー!昨日の夜ディナーを楽しんでたのは知ってるんですから!』
「………は?」
『隊士には幕府の会合なんて嘘ついちゃってさー』
ブツブツ呟く葵にやっと話が読めて来た土方
『近藤さんと沖田さんと一緒にとっちゃんて女の人と――「とっちゃんじゃなくて、とっつぁんですぜ」
二人の空間に聞こえて来た第三者の声
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