君に続く道A
□第32話 絶望への道
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『医療忍術だって…カブ兄のお陰で使えるようになったんだよ…』
「それは元々君に才能があったからだよ」
穏やかな声に胸が苦しくなって視線を落とす
「一度…あの森に行ったんだ」
『えっ…』
凛は小さく声を漏らして顔を上げる
「あまりにも居心地が良すぎてね…現実を忘れてしまいそうで…だから何も言わずに姿を消した」
突然現れて…
突然姿を消したあの時のお兄ちゃん――
また会いたいと思ってた…
だってヤブとの思い出を唯一語れる人だから
私以外で
ヤブの存在を証明してくれる人だから
「――気になって会いに行った。だけどあの家はなかった」
『…ッ』
「代わりに小さなお墓があった」
それは私が建てたヤブのお墓――
『私も死のうとした…。でもヤブを忘れちゃうと思ったら怖くて…出来なかった…っ』
震える声を必死に絞り出して言う
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