Arcifanfano

□第一幕 悪いのは誰?
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「ぐっ…ガ…ァ…」

 ドカッ

 腹部に蹴りが入り、後方の壁に背中からぶつかり、その場に崩れる…小さな少年
 それでも容赦無く降り注ぐ脚に、身を丸め防御する

 ガンッ

「っっ!!!ぅ…ァア!!」

 脚の替わりに次に来たのは、バットやら角材やら…固く、長いもの
 中には、鉄骨を持っている者も居た


「ち…がぅ……れは…げほっ!…ってな、い…!!」
「うっせぇんだよ!!」

 彼が否定の言葉を発すると同時に、銀髪緑目のいかにも不良という出で立ちをした少年が大声で叫ぶ
 先程と同じ腹部を再び蹴ると、今度は黒髪黒目の少年が彼の前髪を掴み、顔を上げさせた


「なぁ沢田、お前いい加減にしろよな」
「や…まも…」

 彼…沢田綱吉は黒髪少年…山本武に重なる痛みで虚になった瞳を向ける
 周りは既に薄暗く、路地裏に位置するこの場所では大声で叫んだとしても、気付かれないだろう
 …否、気付いた所で、沢田綱吉を助けようという人間は、もうこの町内には数人しか居ない
 その数人も、今は出掛けていて助けに来れないのだが


「お前…うぜぇよ……いい加減死んでくんね?」


 辺りは暗く、何も見えない…筈なのに、山本武の蔑むような冷たい瞳が、沢田綱吉の瞳に焼き付く
 と、同時に、沢田綱吉の意識は闇に堕ちた

「お前ら!何やってんだよぃ!!」

 1人の少年の声を背後に聞きながら…




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