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□首を返せ
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「……ん…」

 とりあえずもう一度跡を消して就寝した夜。僅かに響いた足音で目が覚めた
 枕元の時計を見ると、時間は夜中の2時過ぎ
 こんな時間に、一体誰が歩いているんだろうか…?

 …ギシ…ギシ…

 ……いや、まて。これは可笑しい
 俺の部屋は2階で、2階には俺と兄貴の部屋と物置しかない
 兄貴は今旅行で居ないから、2階に来る人間はいない筈


 …ギシ…ギシ…

「っ…!?」

 異変を感じ、とりあえず体を起こそうとする
 しかし何故か、手足どころか首さえも動かなくなっていた
 何故?手も足も頭も…ついさっきまで動いていたのに。何故急に動かなくなった!?


「………」
「………」

 体が動かない事に軽くパニックになっていると、足音がしなくなっている事に気付く
 しかしこの場に流れるのは気味の悪い沈黙で、とても足音の主が去ったとは思えなかった



コン、コン

「!!?」


コン、コン、…ドンドンドンドン!!ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

 扉の向こうを警戒しながら体を動かそうと奮闘していると、扉をノックされる
 驚いて固まり、何の反応も返せないでいると、その音は次第に強くなっていった
 まるで扉を壊そうとしているかのような音に、情けなくも体が震える
 次いで響くノブを回す音に、部屋に鍵はかけてあるけれど不安が募ってきた


ガチャガチャガチャガチャガチャ!…バキッ!!

 金属が割れるような、心底不快な音が部屋に響く
 部屋の鍵が壊されたんだと、すぐに理解した


………ガチャ……ギィィィ…
ギシ…ギシ…ギシ…


 床が沈むような足音が、静かな部屋に響く
 逃げ出したいが、体は依然、麻痺したように動かない

ギシ…ギシ…………

 足音が俺の寝ている布団の傍で止まり、それと同時に空虚な視線を感じる
 見られてる気がするのに、そこに居ないような。気味の悪い感覚
 冷たい空気が流れ出していて、背筋がゾクリとした




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