番外編
□俺が君に惹かれた理由
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最初は、ただの可愛い男の子だと思ってたんだ
小柄な体や穏和な笑顔からは加護欲が生まれるし、涙目や悲しげな表情からは、どうしようもなく加虐心が擽られた
彼が女の子なら、モロタイプだったのにと思ったのを思い出す
今は男の子の彼でも、すっかりハマってしまったんだけどね
きっかけは…そう。確かあの時。自己紹介の後の雑談の時だ
俺はその時、綱吉の近くで手塚と話していた
近く、というのは特に意味が無く、何と無くといった感じ
綱吉は越前や宍戸と話していて、時々嬉しそうに微笑を浮かべている
宍「それでな、その時跡部が…」
綱「景兄ってそんな事してたんだ…ι」
越「あの猿山の大将ってさ、一緒に居たいとは思わないけど見てて飽きないよね。笑いのネタになるし」
宍「言ったな?おーい!跡部ー!」
宍戸の声に3人の元に歩いて来る跡部と、それに少し焦る綱吉
元々そんなに離れた所に立ってなかったために直ぐ着いていた
跡「何だ?」
宍「さっきリョーマが跡部は一緒に居たくねぇけど笑いのネタにしてるってよ」
越「微妙に違うよ。見てる分には飽きないとも言った。亮だってそう思うでしょ?」
宍「勿論。……あ…」
跡「言いたい事はそれだけか?アーン!?」
そこまで言うと、3人は子供っぽい口喧嘩を始めた
ふふ。越前、君も“まだまだ”だよ
軽く苦笑を漏らし、ふと先程から喋ってない綱吉を見て、目を見張った
綱吉は困ったように、けど凄く楽しそうに、笑っていた
その笑顔はさっきまでの笑顔とはまた違う、包み込むようで、それでいて見てる俺の心を暖かくさせるモノ
かぁ…と顔が赤くなるのが分かった。けど逸らせない。逸らしたくない
不意に、綱吉と目が合った
こっちを見た綱吉は顔が赤い俺に不思議そうに首を傾げて、やはり笑う
可愛い男の子?違う。彼は…
優しく包容する、頂点に立つ男の人、だ
きっとこの時、俺は君を好きになったのだと思う
君は俺の事も…包み込んでくれるかな?
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