Arcifanfano

□ACT.13〜真実と非情な現実〜
4ページ/9ページ


笹川京子side


 怖い。怖い
 カタカタと震える体を抱きしめて、呼吸を落ち着ける
 “そういう”のが分からない私でも分かる程、この人達は怒ってるし、殺気立っている
 何で怒ってるか…なんて、いくら私でも分かる。……ツナ君を虐めたからだ
 でも、最初の裏切ったのはツナ君の方で。あんなに傷付いた由季ちゃんを見ていたくなくて


――本当に?――

 ………え…

――本当に、ツナ君が裏切ったの?私はそれを、1度でも見たの?――

 み…た……見た…よ…?

――本当、に?――



 その瞬間、体から一気に血の気が引いていくのを感じた
 ガタガタと体が震え、握りしめた指先が白くなり、掴んだ制服がぐしゃぐしゃになっているのが視界に入る
 私は、見たの?ツナ君が由季ちゃんを虐めてる姿を。罵声を浴びせてる姿を
 思い出すのは寂しそうに、悲しそうに顔を歪め、違うと叫ぶ姿
 もうツナ君の笑顔さえ、私は思い出せなくなっていた


花「…こ……京子!大丈夫?」
京「っあ…は…な…?」

 急に響く花の声に体を震わせ、視線を向ける


花「どうしたの?あいつらに何かされた?」
京「ちがっ……ね、花…どうしよ…」

 向こうの人達を睨む花を落ち着かせて、出来るだけ小さな声で言う
 察してくれたのか、花は耳を寄せてくれた


京「私…私………間違ってたのかもしれない…!!」




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ