Arcifanfano改

□ACT.2〜治療と笑顔〜
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丸井ブン太side


 沢田が眠ってからどのくらい経ったのだろう。時計を見れば、だいたい1時間経っていた。
 俺達は特にする事も無く、それぞれ学校の宿題やら沢田の看病やらデータの整理やらをしながら時間を潰していた。


「「「ツナ/綱吉!!!」」」

 チャイムが鳴り、赤也が扉を開けに行ってから数秒。跡部、忍足、宍戸の3人が、慌てたようにリビングに顔を出す。
 いや、忍足は沢田と知り合いらしいって柳生から聞いてたから分かるけどよ、何で跡部と宍戸も居んだ?しかもあの跡部が焦ってるし。
 3人は驚き、狼狽する俺達を気にする事も無く、沢田を見つけると直ぐに沢田の居るソファに向かった。
 そこまできて馬鹿な俺は漸く理解する。この2人も、沢田と知り合いなんだと。


侑「っ…跡部、救急箱持って来てくれへんか?宍戸は手伝ってほしいんやけど…」
跡「分かった。車に積んで来るように言っといたから、直ぐ戻る」
侑「頼むで。宍戸はツナの上脱がしてくれへんか?俺は脈測るさかい」
宍「OK」

 沢田の脈を計りながらテキパキと指示を出す忍足と、それに従って行動する跡部と宍戸。
 ……なんか、傍から見てたら変な図だぜぃ。いつも指示してんのは跡部だからなぁ…
 なんて事を考えながら、その後も俺らや後から来た氷帝の奴らを使って治療すること数十分。忍足の治療は、素人目で見ても完璧だ。


侑「…とりあえず、大丈夫や。病院やないからハッキリした事は言えへんけど、骨や内臓の異常は外から見た限り無さそうやし。せやけど用心に越した事は無いから、明日は俺ン家の病院連れてくで」
幸「あぁ、有り難う。悪かったね、こんな時間に呼び出して」
侑「構へんよ。特にツナの事やったら、いつでも呼び出してや」

 幸村君の言葉に、忍足は苦笑しながらそう返す。最後の所だけ妙に真顔だったのは…気のせい…か?
 …まぁいいや。


跡「そんな事より、何で綱吉はこんな事になってんだ?アーン?」
真「ああ、それは…「待って」…幸村?」

 跡部からの問に真田が説明しようとしたけど、何故かそれを幸村君が遮って止めた。真田は訝し気に幸村君を見ていて、多分俺も同じ表情をしていると思う。
 何で止めるんだよぃ?こいつらが沢田の知り合いなら、伝えといた方が良いと思うんだけど。


幸「それは、俺らが勝手に話して良い事じゃないよ。沢田君が許可出さない限りは…」

 幸村君の言葉に、なるほどと納得する。確かにあんな話、初対面の俺らに話すのでも辛そうなのに、知り合いに話すとなればもっと辛いだろう。
 そこまで考えの至らなかった俺自身に苛立ちを感じると同時に、そこまで考えている幸村君に感服する。


綱「…構いませんよ、話しても」

 その時、第3者の声が割って入った。…いや、第3者というのは少し違うか。だってあいつは当事者であり、この問題の張本人だ。
 割って入った声に、全員がソファを振り返る。そこには、今正に体を起こした所の沢田が居た。


綱「っていうか寧ろ、話して下さると助かります。…さすがに、1日に2回も話すのは…辛いんで…」
宍「ツナ…!!」

 沢田はそう言うと、苦しそうな表情で目尻を下げた。その表情は今にも泣き出しそうで、思わずうろたえる
 だけど俺達が何か行動するより先に、宍戸が沢田に駆け寄って抱き着いた…って
 えぇええ!?宍戸ってそんな人に抱き着いたりする奴だったかよ!?芥川とかなら分かるけどよ、宍戸はちげぇだろ!?どっちかってーと抱き着かれる方だろぃ!?
 …それもそれでどうなんだ。


綱「亮兄…」
宍「バカヤロ…!すっげぇ心配したんだからな…!」
侑「せやで。こんな怪我してまで我慢せんといてや。俺かて綱吉守りたいねん」
跡「俺様を頼れって言っただろ?お前は1人で無理しすぎなんだよ」
綱「侑兄に景兄…。…ありがとう。ごめんなさい…」




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