Arcifanfano
□閑話2〜昏睡と届かぬ謝罪〜
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六道骸side
綱吉君のベッドの傍に座ってクロームに抱き付き、涙を流す笹川京子。そして少し視線をずらして、扉側の壁に居る黒川花を横目で見る。
彼女らは一様に綱吉君の傷を見て、悲しそうな…どこか傷付いたような表情を浮かべていた。
――ふざけるな。
綱吉君を信じなかった後悔なら構わない。むしろ存分にして、どんどん悔めばいいと思う。
しかし、貴女達が傷付く事の、なんとお門違いな事か。
三浦ハルは構わない。彼女は綱吉君を助けこそしなかったが、きちんと疑問を精査して真実を見抜いた。
そして自分に出来る最大限の事をしたのだ。
欲を言えばやはり綱吉君を助けて欲しかったが、それは仕方ない事だろう。
彼女は列記とした一般人の女性。目の前で理不尽に暴行されている様を見て、反撃手段を持たぬ人間が立ち向かえる筈がない。
勇気と無謀は違うのだ。
しかしそれに比べ、彼女らはどうだ?
目先の嘘に騙され踊らされ、綱吉君の話を聞かなかった。
他のクラスメート達とは違い、暴力も暴言もしなかったそうだが、なら許されるというものでは無い。
心が狭い?子供?何とでも言うがいい。
僕にとって綱吉君は最上の人。僕を憎しみと恨みから救ってくれた、浄化してくれた、ただ一人の人なのだ。
僕にはクローム達と綱吉君が居てくれれば、それだけでいい。
その他大勢の有象無象になんと言われようが、微塵も心は動かないのだから。
リ「骸、雲雀」
ふと名を呼ばれ振り返ると、病室のドアを開けたアルコバレーノに目で外に出るよう促される。
首を傾げつつも頷くことで返事を返し、そっと病室の外へ出た。
綱吉君を残すことに不安はあるが、今のあの2人が何か危害を加える事は無いだろう。
それに中にはクロームを残している。ドアを閉める直前にクロームもこちらを見て頷いてくれたので、信じて任せられた。
骸「どうかしましたか?」
病室の外。完全に扉が閉まったのを確認してから口を開く。
クロームの事は信頼しているとはいえ、それとは関係なしに綱吉君の傍に居たい。
そう思って早く話が終わるよう促せば、アルコバレーノは呆れたような表情で僕と雲雀恭弥を見た。
当然ながらそんな表情を向けられる覚えのない僕は再度首を傾げ、同じように視線を向けられていた雲雀恭弥へ視線を向ける。
しかしこちらも僕と同じような表情をしていて、結局分からなかった。
リ「『どうかしましたか?』じゃねーよお前ら。気付いてねーのか?」
雲「何が?」
リ「お前ら2人共、僅かだが殺気が漏れていたぞ。ったく、気は合わねえくせに変なところソックリだな」
アルコバレーノの言葉に驚いて目を瞬く。
全く気付いていなかったのだ。自分の事もそうだが、すぐ傍で雲雀恭弥が殺気を漏らしていたのに気付かなかった事にも。
だが意識してみれば確かに自分も雲雀恭弥も僅かながら殺気を出していて、お互い慌ててそれを引っ込める。
リ「お前らの気持ちも分からねぇでもないから、無理に認めろとは言わねぇ。だがな、ツナの為にも敵意は向けるな」
アルコバレーノがそう言った途端、雲雀恭弥のトンファーが壁に向かって振り下ろされたのが視界の端に映った。
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