捧げ物
□絆を繋ぐ先
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逃げなきゃ
逃げなきゃ、逃げなきゃ…!
「――て―ぃ―」
聞こえていた聞き慣れた声に、傷だらけの足を引きずって逃げる
ダメだ。早く逃げなきゃ…
「ぅあ…!」
ぐしゃ
水溜まりで滑り、顔面を地面に強打してしまった
痛い。痛いけど、それよりも早く此処から逃げたいという気持ちが強かった為必死に立ち上がり、また進む
「…はぁ…はぁ…」
雨と疲労からか、視界はどんどん悪くなってきた
まずい。何処か隠れられる場所を探さなきゃ…
このままじゃ直ぐに見つかってしまう
俺はとにかく必死に体を動かし、悪いと重いながらも何処かの敷地内に入り身を縮めた
これ見つかったら不法侵入者扱いされるかな…?…まぁ、どうでもいいや
けど、どうせなら目をつむって…このまま目覚めなきゃいいのに…
だんだんと下がってくる瞼と思考能力をぼんやりと感じながら、俺はその場で意識を手放した
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