ロスタイム

□未来の希望
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9月21日


休暇が明けて2日ぶりにリザは仕事をする。






『いやぁ、やっぱり中尉がいないと仕事が進まないっスよー』




リザが休むと決まって部下たちはそんなことを言う。



『中尉がいないとダメだな〜』



"私がいないと"か…




こんな私でも必要とされているんだ…




でもね…






『何言ってるのよ。私がいなくてもちゃんと仕事してちょうだいよ』




『無理ですってι』





そうやって部下たちは苦笑いする。





本当に私はいなくなるのよ?




私がいなくたって仕事くらいできないと…




『まったく…仕事くらいできるだろ?私を見習いたまえ!』




突然ロイが口を挟んできた。




『何言ってんスか。仕事が進まない原因はアンタっスよ』




ハボックがすかさずツッコミを入れる。




『なっ!違うぞ。ただ単に書類が多いだけだ』



『『へぇ〜』』




部下たちは冷たい目線でロイを見つめる。




『なんだねその目は…』



ロイは目線に気づいたのか少し戸惑った。




『なら今日の書類はあまりないんで終わらせてくださいよ〜?』




ハボックが嫌みなような表情でロイを見る。




『っ…あぁいいだろう。私一人でもこれくらいできる』




ロイはペンを回しながら誇らしげにしている。




『言いましたねぇ〜んじゃ一人で頑張ってくださいねぇ』




そして部下たちは各自持ち場についた。




リザは溜め息をつく。





本当に終わるのかしらね…



『大佐、本当に終わらせてくれるんですね?』



一応、問いかけてみる。



『当たり前だ。男に二言はない!』



どうやら終わらせるようだ。



『あらそうですか』




ならほっとこうと思った。


するとリザはあることを思い出した。




『あの…大佐…』



小声でロイに話しかける。



『ん?なんだね』




『何か悩みやしてほしいことなどあったりします?』








『?…ん〜特にないな』












ロイは手を額に当てて考えている模様だったが思いつかない様子だ。




『ない…ですか』




恩返しをしたいのだがこの人については私にはよくわからない。



きっと深い悩みは誰にも言わないだろう。





『あっ悩みはいいとして、してほしいことというか…』




ロイは何かを思いついたように顔を上げる。




『なんですか?』





『くだらんが、結構疲れが溜まっていてね…息抜きに何かしたいなーって』




そんなこと?



リザは内心そう思う。





『貴方はいつも息抜きしてると思いますがね。そんなことだったとは…』



『息抜きなんかしてないぞ?いいじゃないか。でも、いきなりなんだね?』



ロイはいきなり不思議な質問をするリザが気になった。




『え?なんだか…その…知りたくて。悪いですか?』




ロイの質問に少し戸惑う。



『いや、珍しいなと思って。願いを叶えてくれるのかな?』




『さぁ…内容によってですが…。何かありますか?』




息抜きといったって貴方は女性と遊ぶことでしょ?





















『何かか……君の作った弁当が食べたいとか…』




ロイはボソッとリザに呟いた。





『何が息抜きですかι冗談はやめてください。』




何を思ってそんなことを言うんだろうか…




『冗談じゃないさ。私にとっては息抜きなんだ』




何を言ってるんだこの人は…ι



でも…




『いいですよ?明日作ってさしあげます』



『え!?本気かね?』



『本気ですよ?』




ロイはまさかのリザの返答に驚きを隠せない。





『正直、断られるかと思ったよ。凄く嬉しい』



『いえ、そうだ…この近くに綺麗な丘があるはずなので、明日昼休みそこで食べましょうよ』




『本当か!?』




ロイは喜びでか席を勢いよく立った。



それに驚いてかハボックらはビックリした。





『はい。みんなで…』




『え゛っみんなで?』



ロイはリザの言葉に固まる。




『なんスかなんスか?』



ハボックらはロイとリザの会話が気になってか目を輝かせている。




『お前らには関係ない!!』



ロイは声を荒立て、デスクを思い切り叩いた。




『嘘だ!さっきなんか話してたじゃないスか!』



『大佐…いいじゃないですか…』



リザは落ち着いた口調でロイに話す。





『…わかったよ』




ロイは観念したかのように溜め息をつく。





『ちゃんと作りますから』




『なんの話なんスかぁ!?』




『明日のお昼、近くの丘に行って私の手作り弁当食べるんだけど…みんなは?』





『『食べる!!』』





お決まりの返答だった。





『決まりですね。では大佐…貴方は書類担当なので私、視察に行ってきます』





『しょうがないιあぁ、気をつけてな』




『行って参ります』




『気をつけてくださいね中尉〜』








そしてリザは執務室を後にした。








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