ロスタイム
□そして前へ
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リザが亡くなってすぐに葬儀が行われた。
葬儀にはリザの知り合いなど大勢の者たちが集まった。
『…うっ…ぅ』
涙を流す者が後をたたなかった…
ハボックらは大粒の涙を流していたが、ただ一人涙を流さない者がいた。
そう…ロイだけは
───
リザの死から数日経った頃、ロイたちはいつも通り仕事をする。
『ハボック、この書類の確認を…』
『はいはい。まったくもっと早く仕事してくださいよ。中尉なんてこれくらい………』
ハボックはしまったというような顔をした。
空気が重くなる。
ブレダたちは下を向いている。
『……そういえば中尉のデスクの整理してなかったな』
重い沈黙を破ったのはロイだった。
『ブレダ、中尉のデスク整理してくれ』
『はっはい』
ブレダは席を立ってリザのデスクの整理を始める。
『ハボック、何固まっている?早く確認しろ』
『え?あっはい…』
ハボックは我に返ってロイから書類を受け取った。
『あれ?』
突然ブレダが声を上げた。
『なんだ?』
ロイは視線をブレダに移した。
『大佐…これ』
ブレダが手にしたのはあるノートだった。
『それがなんだ?』
『手紙が複数挟まってます』
ロイは気になるので席を立ちノートを受け取る。
ハボックらも続いて席を立った。
『何枚かあるな…一応、確認を…』
ロイはノートから挟まった手紙をデスクに広げた。
『七枚あるな…一体誰に…』
すると全員が目を見開いた。
『…これ俺たちの名前書いてありますよ』
『あぁ…何故だ』
よく手紙を一枚一枚見ると何人かの名前が書いてある。
レベッカ
ハボック
ブレダ
フュリー
ファルマン
グラマン
ロイ
この七人への手紙が挟まっていたのだ。
『…お前ら自分の名前が書いてある手紙を貰え。レベッカ少尉とグラマン中将には私が…』
ロイはそう指示するとハボックらは自分の名が書いてある手紙を受け取った。
ロイは全員が受け取ったのを確認すると自分のとレベッカ、グラマンのを取り執務室を出て行った。
『何書いてあんだろうな』
ハボックらはそう言って手紙を読み始めた。
『………っ』
────
数時間経ってロイは執務室に戻ってきた。
『おかえりなさい大佐』
『あぁ…やけに静かだなお前ら』
不思議と静かなハボックらに違和感があった。
『はは…あの大佐…』
ハボックが口を開いた。
『なんだ?』
『俺に休暇くれませんか?』
『俺も…』
『私もです』
『僕にも…』
ハボックに続いてブレダたちも休暇願いを出してきた。
『何故だね?』
『中尉からの手紙を見りゃね…』
『……』
ロイはハボックらの視線を見て溜め息をついた。
『わかった。仕事は私がなんとかしよう』
『ありがとうございます!』
多分こいつらは中尉の墓参りに行くんだな…
『ほら仕事だ仕事』
『はい!』
さて、私も手紙を読むとしよう…
そしてロイは自分の席に座り手紙を読んだ。
『………』
私も休暇取ればよかったな。
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