ロスタイム

□自信を持って
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リザが執務室に着くと何やら騒がしかった。





原因はフュリーである…








『どどどうしましょう!僕が指導なんてむむ無理ですよ〜』







やはり新人指導のことで緊張しているようだ。







『お前ならできるって!』





『レイマス中佐に気に入られたらラッキーだぞ』






『応援してるぞ!』






ハボックらが緊張しているフュリーに励ましの言葉をかける。









そうフュリーが失敗してしまったのはこういうプレッシャーの言葉のせいでもあった。







当時のリザもそういった言葉をフュリーにかけてしまったのを覚えていた。









申し訳ないことしたわね…









『こらあなたたち、仕事の準備をしなさい』






『あっ中尉ιすいません』





ハボックらは大人しく自分の持ち場につく。






フュリーは青ざめながら下を向いている。









まったく…
世話のやける部下ね。





でもそうやって成長するのよ?
















『フュリー曹長』






リザはフュリーの肩に手を置いた。






『ちゅっ中尉…』






やはり元気がない。









『そんなに緊張しているの?』





『……はいι』






フュリーは元気のない返事をする。
やはり相当緊張しているようだ。







『曹長…、私も新人に狙撃の指導を頼まれることがあるの知ってるわよね?』





リザは狙撃の腕がいいため是非とも指導をと頼まれる事がしょっちゅうあった。






『えぇ。中尉は緊張とかしないんですか?』






『するに決まってるでしょ?初めて教える時、あなたみたいな状況になってたのよ?』





『そっそうなんですか?でも中尉は優秀ですし失敗しなかったでしょ?』





フュリーは不安そうにリザに質問する。






『何言ってるのよ。失敗しない人間なんているの?』





リザはフュリーの不安を無くしてあげたかった。






『……』





フュリーは黙って聞く。






『私だって失敗したの。だけどそれで成長するの。失敗や上官の顔色を恐れていては負けよ』







『…っ』





まさに自分だとフュリーは思った。







『そんな暗い顔しないで…、新人たちが不安になっちゃうわよ?明るく振る舞わなきゃ。ね?』






リザはフュリーに微笑みかける。






『中尉……』






暗い表情をしていたフュリーは顔を上げた。






『そう、ちゃんと前を向いて明るくね。あなたは自信がないだけ…自分に自信を持ちなさい』





リザはフュリーの顔を真っ直ぐ見る。





『……はいっ!!』






先程のフュリーとは想像できないほど表情が明るくなった。





そんなフュリーを見て自分も嬉しくなった。






『頑張りなさいよ?』





『任せてください!』









ガチャ









誰かが執務室に入ってきた。









『やぁ、おはよう』







ロイであった。
寝癖がついているのでどうやら寝坊したらしい。






『大佐…遅いですよ』




リザは仕事に遅れてきたロイに呆れる。






『いや起きるのが遅くて、そういえばフュリー曹長、今日は新人指導だったな』





『はい…』







『期待しているぞ!お前なら失敗なん…ん゛ん゛!?』





ロイが余計なプレッシャーをフュリーに言う前にリザはロイの口を手で塞ぐ。






まったくこの人は…!!



危なかったわ。






そう…
フュリーが一番プレッシャーに感じていた言葉がロイのであったこと…





リザは危機一髪思い出した。






『ん゛ん゛!中尉っ何を『いいからフュリー曹長、いってらっしゃい!!』





リザは強くフュリーに言いかける。





『えっあ、はい!』















フュリーは急いで指導に向かっていった。









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