ロスタイム
□家族
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『寂しい思いをさせてすまなかったな』
『何言って…』
『少し長いと思うが聞いてくれ…』
リザは驚きながらも黙ってコクンと頷いた。
それからグラマンは昔の話をし始めた。
『わしはね、君の両親の結婚を認めなかったんだ』
グラマンが話始めたのはリザの両親のことだった。
『それで酷く喧嘩してな、二人は駆け落ちした』
グラマンは深い溜め息をついた。
リザは黙って聞いている。
『今頃、なんで承諾しなかったんだと後悔してるよ』
少しグラマンの肩が震えていた。
『…まさかもう娘に会えないなんて…っ思ってもいなかった』
『…え…っ』
子供の時、母から聞いたことを思い出した。
─お爺さんとは会えない
駆け落ちだったんだ…
『娘に会ったのは…何年後だったかな…、娘は墓だったよもう。そして君の父も…』
『……』
『あんなにわしより早く死ぬなんて思ってもいなかったよ』
グラマンは眼鏡をはずして目をこすった。
『悲しかったよ。苦しかった…自分はなんてことしたんだと…わしは父親失格じゃ』
『っ…』
『娘たちの結婚を許して祝福してあげたかったな〜。幸せな娘の姿をずっと見ていたっ…かったな〜』
グラマンの声はかすかに震えていた。
『わしは絶望に浸った…だがな突然ある子が現れた』
『…ある子?』
『君だよリザ…お前は娘にソックリだ』
『わったし…?』
リザは突然の返答に驚いた。
『ホークアイという名、娘にソックリな少女…、あの二人に子供がいたなんて…軍で気づいたよ』
『………』
『まさか鷹の目がわしの孫娘なんて信じられんかったわい』
グラマンは微笑んだ。
『嬉しかったよ…孫娘に会えたなんて…。そしてわしは謝りたかった』
するとグラマンはリザの方へ歩き出した。
『あの二人を不幸にしてしまった分、リザにも寂しい思いをさせてしまった…辛かっただろ?悲しかっただろう?』
『…っちゅ…中将』
リザは目元が熱くなり涙が出そうになった。
そんなことない…
『ごめんなぁ…わしが悪かった…んだっ、すまなかったなリザぁ…っ』
グラマンはリザを抱きしめた。
肩が涙で濡れているのに気づいた。
『…っなことないです!私は幸せでしたよ!』
リザもグラマンを抱きしめる。
『母も父も仲がよかったです。幸せでした私!それに今も幸せですっ…』
『…っ…』
『だってあなたがいる。家族じゃないですか…あなただって立派な私たちの家族ですよっお爺ちゃん…』
リザは必死にグラマンに訴える。
『そんなっわしは…家族なんてっ』
『あなたがいてよかった…それに寂しくなんかない…今の私にはこうやって家族がいる仲間がいる…』
『うっ…』
『こうやっていられるのはあなたのお陰なんです。私は言いたかった…』
リザは間を置いてグラマンを見る。
『ありがとうお爺ちゃん。私は今幸せですよ』
リザは満面の笑みでグラマンを見つめた。
『…リザっ』
グラマンは大粒の涙を流した。
その笑みの顔はグラマンの娘にソックリだった。リザの母の顔に…
『…ありがとう!っその言葉で救われた気がする…よ』
グラマンも明るく笑った。
『『ありがとう…』』
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