ロスタイム

□故郷
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家を出て近くの丘に登ると複数の墓地が見えた。




『見えたわ』




リザは自分の両親の墓地がある場所へ歩いて行った。











『…ただいま。お母さん、お父さん』





何年ぶりかしら…

軍に入ってから仕事とか忙しくて墓参りする暇なんて無かった。




本当に久しぶりだ…






『リザよ。覚えてるかしら?久しぶりだもんね』





リザは両親の名が刻まれた墓地に手をかざしながら話しかけた。





『ハヤテ号、この二人は私の親なのよ』




リザは振り向いてハヤテ号に微笑んだ。




『クーン?』



ハヤテ号はなんとなく首を傾げた。





『お父さん、お母さんなの…私を育ててくれた大切な家族よ…』




するとリザは立ち上がり綺麗に咲いていた花を摘んだ。



それを二つの墓地に供えた。





そしてリザはしゃがむと墓地に拝んだ。





『お父さん、お母さん、お爺さんから二人のことについて話を聞いたの。いろいろあったんだね…』



結婚を許されず駆け落ちした二人…



その二人の間に生まれた私…





『お爺さん、ごめんなさいだって…。泣いて謝ってた。どうか許してあげて』




結婚を許さなかった自分を憎んでいるグラマン…


娘たちに一言謝りたいと言っていた。





『きっと…心配だったのよ。わかってあげて…、それに私たち幸せだったじゃない。それでいいのよ』





結婚は許されなかったが、仲良く三人で暮らしていた。





『そして二人が亡くなって寂しかったわ。だけど今とても幸せ…』





私にはたくさんの仲間ができた。



いつも助けられて支えられている…



大切な私の仲間たち。






『お父さん、お母さん…私、あなたたちの子供に生まれてよかった。感謝してるの』





あなたたちがいなかったら、あんな素敵な仲間たちに会えなかったのだから…






『…今更だけど、ありがとう…。二人とも大好きよ』




大好き…


今頃かもしれないけれど、ずっと言いたかった。




『またそっちに逝ったら、言うからね』





あっちの世界にはお父さん、お母さんいるかな…




仲良くしてればいいな。


あっちでも仲の良い家族でいたいな…




そして大好きって直接伝えるんだ…






『また、家族でたくさん話をしようね』






そしてリザは話を終えると立ち上がった。






『もう遅いし、帰りましょうか』



『ワンワン!』






そしてリザは両親の眠る墓地を後にした。









お父さん、お母さん…



私は幸せです…



いろいろな辛い経験もしたけれど、いつも周りに助けられてきた。





こんな私にも仲間という存在ができたの…



凄く嬉しかった。





私の命は残りわずかだけど仲間たちのために精一杯生きる…





あっちに逝ったら、私の仲間たちについても、たくさん話すわ。




その時は二人の話も聞かせてね…














お父さん、お母さん




私を生んでくれてありがとう。



二人の子供に生まれてこられて私は幸せ…





大好き…






















━続く

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