他人の恋には敏感で、自分の恋には臆病で・・・

□最終話 大好き!
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自分の気持ちに素直になろう。

この想いを あなたに伝えたい。







他人の恋には敏感で、
 自分の恋には臆病で…


 最終話 大き!












月曜日。



私は家を出る前から緊張していた。

柳生君と顔を合わせる事すら気まずいというのに
自分の想いを彼に伝えるのだ。

柳生君、どんな反応するかな。

その前に、話してくれるかな…。



学校に行く前に
良くないことばかり考えてしまう。


柳君に告白した日よりも心が、体が重い。



でも、決めたんだから!



私は決意を新たに昼休みになるのを待った。


授業なんて頭に入らない。



柳生君に何て言って伝えるか。

柳生君は私に会ってくれるか。

会ってくれなかった場合どうしようとか
柳生君のことだけで頭がいっぱいだった。


その為に、ボーっとしていた私は
3時限目の体育の授業。
女子はバレーをやっていたのだが
ボールがこちらに向かっているのにも気付かずに
顔面直撃。

私はそのまま倒れて保健室に運ばれた。




「…大丈夫?」



一緒について来てくれた唯笑が心配そうに私の顔を見た。



「うん、まだヒリヒリするけど…なんとか」




おでこに強くぶつかったみたいで
赤くなってはいたけど、冷やしているからすぐ治まるだろう。





「このまま授業に戻っても、また怪我するだけだし
 お昼まで寝てたら?
 先生には私から言っておくから」

「うん。ありがとう、唯笑」




唯笑の好意に感謝して、私は保健室のベットに横になった。



恥ずかしいな。

なにも告白する日に顔面でボール受けなくてもいいじゃん。

でも、おでこでよかった…。

鼻に当たって、鼻血でちゃったりしたら
もう告白なんてできなかった。


昨日は今日のことを考えてろくに寝られなかった私は
お昼まで熟睡してしまった。







お昼になり、何時までも寝ていた私を起こしたのは唯笑だった。




「亜加里、何時まで寝てんの!柳生君呼びに行かなきゃ!」



その言葉に飛び起きる。


「ヤバイ!ありがとう唯笑!行ってくる」



ベットから降りて出て行こうとする私を唯笑は焦って引き止める。



「亜加里!寝癖ついてるよ!それからジャージ着替えないと!!」

「うそぉ?!」





保健室にある鏡を見ながら急いで寝癖を直して
制服に着替え、柳生君のクラスへ向かう。











全力疾走をした後のように
心臓が早く動いている。

緊張で手が震えてきた。



い、言わなきゃ。

柳生君に会わなくちゃ。




私は廊下側の席に座っている人に
柳生君を呼んでほしいと頼んだ。



「柳生なら、もう出たけど。…お昼かな?」




私はその言葉に肩を落とした。


もうお昼に行っちゃったのかな。

テニス部の人達と屋上かな?
だとしたらもう無理だよね。

そんな中に呼ばりになんて行けない。



私は仕方なく教室に戻った。



自分の席に行って鞄からお弁当を出そうとしていると
同じクラスの男子が来た。



「桜、さっき柳生がお前のこと呼びに来たけど?」

「…ん?…柳生君が?!何時来たの!」

「あ、いや。桜が来る少し前に…」

「分かった!ありがとう!!」




私は急いでまた柳生君のクラスに向かった。

走ったせいで息がきれた。
柳生君と話す前に整えようと落ち着かせていると
さっき話した人が私に気付いた。


「あ、さっき柳生が戻って来たから
 君が来た事伝えたんだけど…。

 たぶん、君のクラスに行ったと思うよ?」



その言葉に私は苦笑いするしかなった。


また入れ違いにならないようにと
急いで教室に向かったけれど
柳生君の姿はなかった…。



「あれ、桜。また柳生来たけど?会った?」



クラスメイトの言葉に首を横に振って
お弁当箱を手に教室を出た。


もう駄目だ。

これは告白するなといっているんだわ…。









お昼休みの時間もなくなってきている。
放課後に言うことにした私は
裏庭に行ってお昼を食べた。



柳生君、私の所に来てくれたってことは

会ってくれるかな…。





午後の授業も受ける気になれなかった私は
そのまま眠ってしまった。








目が覚めて時計を見ると
授業もHRも終わっている時間。


運動部の部活を始める声が聞こえてきた。







…終った。

私は空になったお弁当箱を持って教室に向かう。

鞄に荷物を詰め込んで、屋上に向かった。




フェンスに越しにテニスコートを見た。

まだ部活は始まっていないみたいだけど
準備してるだろうな…。










柳生も2回目のクラスメイトの伝言に
昼休みは諦めて、放課後また亜加里のクラスに来ていた。

唯笑が気付いて柳生に駆け寄る。


「柳生君。亜加里に会った?」

「いえ、今日は1度も…。お昼休みに来たのですが
 擦れ違いになってしまったみたいで」

「そうなんだ…。亜加里、昼休みから戻って来てないの。
 これから探しに行こうと思ってるんだけど」

「そうでしたか…。何処か、桜さんが行きそうな場所に心当たりはありませんか?」

「うーん…中庭か、裏庭。あと、屋上かな?」

「私も探してみます」



唯笑は柳生の後姿を見送って電話をかける。
相手は彼氏である柳だ。




中庭、裏庭と探したが亜加里の姿は見あたらなった。

そろそろ部活に行かないと、というところで
携帯に着信が入る。

それは、柳からだった。



「柳生、桜は見つかったか?」

「北条さんに聞いたんですか?…探したんですが何処にも。
 今からそちらに行きますので」

「柳生。今日、部活は休んでもいいんじゃないか?」

「柳君?」

「幸村には俺から話しておく。


 …頑張れよ、柳生」


「…ありがとうございます。柳君」





電話を切って、柳生は屋上に向かった。










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