ホラーお題 夢

□心霊写真
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部屋で寛いでいたら、携帯がメールの受信を告げた。









「誰だろ?」

22時ピッタリに送信されたメール。

送信者の名前はクラスメイトで隣の席の 忍足 侑士。


フォルダを開いてメールを開く。


無題のそのメールに本文もなく
写真が添付されていた。

添付されているファイルを開くと

忍足君の写真だった。

随分と可愛らしいパジャマを着込んだ忍足君が
どや顔で写っていた。



「…え、何この写真、気持ち悪っ!!
22時ピッタリに送ってくるっていうのも気持ち悪い…。
私にこの写真をどうしろっていうの?
…ファンの子にでも回すか?」



イラッときた私が知り合いの忍足君のファンだという
女の子にメールを送ろうか考えつつ写真を改めて見ると

忍足君の顔のせいで気付かなかったが
忍足君の隣に女の子が写っていた。



ん?彼女?



忍足君の隣で控えめに写るその女の子の表情は
少し顔を俯かせているせいで窺えなかった。

可哀相に、無理やり一緒に撮らされたのだろうか。
恥ずかしくて俯いているんだ。



え、待って。何なの?彼女ができました!っていう報告的なメール?
いらねぇよそんなもん!!

お前も早くいい人見つけろよ?とか言うつもりか?





持っている携帯を逆向きに二つ折りしてやりたかったが
ちょっと待て、自分。私の携帯に罪はない。

うん、落ち着こう。

返信する気になんてなれず、私はそのまま寝てしまった。







翌日学校に行き、忍足君が朝練を終え教室に来るのを待った。

暫くして忍足君の変に色気がある声でクラスメイトに挨拶する声が聞こえてきた。





「おはようさん、桜」

「おはよう、忍足君。君が来るのを待っていたよ」

「なんや?…そや、昨日メール見なかったん?送ったんやけど」

「うん、見たよ。その事でね話があったんだよ。
とりあえず、あの写真何?彼女自慢?パジャマのお披露目?
罰ゲームだったら許してあげるよ?」





私の中で考えられるメールの送信理由を3つ挙げてみた。
そしたら忍足君はキョトン。という顔をした。



もうやめて忍足君。

何かイラッとくるから…。





「何ゆうてん、おやすみのメールやないか」





やっと帰ってきた返答に、私の眉間に皺が刻まれた。





「忍足君よ、誰がそんな事頼んだよ。
それにね、彼女の目の前でいくら友達とはいえ
女の子にメールするなんてデリカシーがなさすぎるよ」





私が少し凄みながら言ったら忍足君は今度は不思議そうな顔をした。





「桜、気になっとったんやけどな。彼女って、何の話やねん」

「はぁ?」





な、何?今度は恍ける気?

私は忍足君に昨日送信された写真を見せた。





「ほら!彼女と写ってるじゃん!」





写真を見た忍足君は、驚いた顔をした。
その顔色はどんどん悪くなっていっている気がする。

忍足君は自分の携帯を取り出し操作している。





「桜!その写真、はよ消去しい」

「え?なんで」

「ええから!持っとったらあかん」





そりゃあ、持っていてもいい事なんてなさそうな写真だけど
自分で送っといて、持ってたら駄目だ消去しろだなんて…。



私は言われるままに写真を消去した。





「ちゃんと消去したか?」

「うん、したけど…何なの?」





忍足君は口に手を当てて深刻そうな顔で悩んでいるようだったけど
ゆっくりと口を開いた。





「…あんな、写真撮った時、俺1人やったんや」





え?1人って、女の子一緒に写ってたじゃん。
どういう事?…ドッキリ?
私が怖がったところで、冗談やで!って言って、笑うつもりなんでしょ?





「冗談でしょ?」





私が笑いながら言ったのに、忍足君は首を横に振るだけ。


忍足君、演技派だな。
もう分かったよ、騙されてあげるよ。





「本当なの?じゃあ、あの女の子は誰?」

「分からへん。どないしよ、家帰るんめっちゃ怖いわ…。
まだ居るかもわからん…」





忍足君は、何だか泣きそうにみえた。



忍足君があまりにも緊迫しているから、演技なのかどうか疑わしくなってきた。
だけど、これが演技ではなかったとしたら
あの写真は、心霊写真?あの女の子は、幽霊ということになるのだろうか…。


もし、そうだとしたら…


忍足君もそうだけど


写真を受け取った私にも、何かしら起こるのではないのかと心配になってきた。





そしてもう一つ…。






彼女でもない、ただのクラスメイトにあんな写真を送りつけてきたのか…。








それもまた、恐怖ではないだろうか…。








心霊写真










2011/06/08














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