私の望は異世界トリップ 第2部

□第38.5話 余韻嫋嫋 真田君と
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私のは異世界トリップ
第37話 〜 余韻嫋嫋 真田君と 〜








昨日、部活中に蚊で一騒動起こしてしまったため
一緒に騒動を起こした赤也と仲良く
部室の掃除を言い渡されました…。

2人で妙にテンション高く皆の(幸村除く)ロッカー点検をしていた時
部室のドアが開かれて、帽子を被った副部長、真田が姿を現した。




「あ、弦一郎。どうしたの?」

「ちゃんと掃除しているか?」




真田が言った言葉の前に「赤也は」と付きそうな訊き方に
密かに笑ってしまった。





「態々様子見に来たんスか?」




自分のロッカーの整理をしていた赤也は顔を上げた。





「大丈夫っスよ。ほら、綺麗になったでしょ?」





自慢げに自分のロッカー内を見せるが
足元のゴミ箱は赤也のロッカーから出たゴミでいっぱいだった。





「お前は要らない物を溜めすぎなのだ」




溜息をつく弦一郎に苦笑をもらすと

再びあの嫌な音が耳元を掠めた。

警戒してキョロキョロと周りを見渡すと

真田の腕に蚊が止まろうとしている。


私はその蚊に「とまれー、とまれー」と念じた。


それが通じたかどうかは分からないが
蚊が弦一郎の腕に止まった。





「弦一郎!腕に蚊が止まったよ!」

「なに」





赤也とは違い弦一郎は素早く蚊に向かって手を振り下ろした。




パシッ




…プチッ






……ギャー





声にならない2つの悲鳴が重なって


私と赤也は弦一郎から少し距離をとり
互いに身を寄せた。




暫く様子を伺ってたけど
弦一郎はピクリとも動かなく、腕には鳥肌がたっていた。




弦一郎!!




私と赤也は弦一郎に近づくと
そっと、弦一郎の腕を取って、ティッシュで蚊を取ってあげた。


それでもまだ弦一郎は動かないし何も言わなかった。


そんな弦一郎に赤也は弦一郎の右隣に立ち肩に腕を回した。
私は左隣に回って肩はしんどいから腰に腕を回した。


私達3人に妙な連帯感がうまれた。






2010/10/07








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