福本さん作品 夢

□ハラハラドキドキ…!お風呂掃除っ…!!
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優しいオレンジで目を覚ました。



「寝ちまったのか…」



一緒に居た亜加里の姿が見えない。

…買い物にでも行ったのか?


ゆっくりと起き上がり、部屋を見回したけど
何も無く静かだった。


…亜加里が帰ってくる前に風呂掃除しとくか。


まだボーっとする頭でフラフラと風呂場へと向かった。


腕を捲くり浴槽スリッパを手に持って
お風呂場のドアを開けた。



立ち込める湯気。



…そして


浴槽から上半身を這い出し
濡れた長い髪を垂らせている女が居た。



「――っ!!ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」



俺はその場に尻餅をつき女から距離を取ろうと後退るが上手くいかず
涙が滲みぼやける視界で
女が少しずつ頭を上げていっているのが見えた。

ヤバイっ!

そう思って目を瞑った俺の耳に聞こえた声。



「何やってるの?開司」



え?


俺は恐る恐る目を開けた。
亜加里の声が、風呂場から聞こえたからだ。


目を開けた俺の目に映ったのは
ホラー映画の1シーン…ではなく

髪を掻き上げ、湯に浸かる亜加里の姿だった。



「な、なんで?亜加里…だったのか」

「とりあえずもう出るからさ…閉めてもらえるかな?」



俺はハっとなって今の現状を理解した。
さっき動けなかったのが嘘のように勢いよく立ち上がると
『わ、悪い!』と謝ってドアを閉めた。



部屋に戻っても落ち着かない俺を
パジャマに着替え髪をバスタオルで拭きながら戻ってきた亜加里が笑った。



「買い物に行ったのかと思った」

「ごめんね、髪染めてたの」



ドライヤーの熱で少しずつ乾かされていく髪は
綺麗な栗色に染まっていた。



「それにしったて、あんな格好っ…」

「うーん、寒くてまだ温まってたかったんだよね。
でも時間だから流さないといけないでしょう?
だから、お湯に浸かりながら髪を流してたの。
そしたら開司が入ってきて…ぷふっ」



吹き出した亜加里。



「だって、しょうがないだろ!俺がどんだけ驚いたか分かるか?!」

「だから、ごめんってば。でも…凄い悲鳴だったね」



クスクスと笑う亜加里。

ドライヤーを床に置き

「どう、染まってる?」

なんて訊いてくる。



「…よく見えないから、もうちょっとコッチ来て」



なんて嘘を吐いて亜加里を誘う。

無防備に近付いてきた亜加里を押し倒す。



「今度は亜加里に声を上げてもらうぜ?」



顔を真っ赤にして怒ってるけど

ここだけの話…

俺は死を覚悟するほど怖かった…。








ハラハラドキドキ…!お風呂掃除っ…!!










2012/2/17





この前髪が2色になっている事に戦慄し
髪を染めた時、寒かったのでお湯に浸かりながら髪を洗い流してました。
その時『○子みたいだな…』と自分の姿を想像し背筋が寒くなった…。
そんな時思いついたお話です。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



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