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□願っただけ
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朝、優しい陽光が降り注ぐ。
白いカーテンが薫る風にそよぎ頬に触れる。
ドアをノックする音が響いて静かに開かれた。
そしてただ俺は微笑むだろう。

おはよう、素敵な朝だな。でも平和過ぎてつまらないかな?

……まったく貴方はそう言う馬鹿なことを言って。

俺を優しく叱る声。
そうして二人で笑える幸せ。
幸せな日常、ゆっくりと過ぎていく時間。
夜になってまた瞳を閉じれば同じ朝がやって来る。
そんな未来、そんな過去、掴みきれなかったそんな話。









〈アンタが奪ったものを1つ返して貰っただけさ〉

〈何を悲しそうにするんだ?
……アンタだって俺と同じことをしてきただろうに〉

傷つける人、傷つく人。
表裏一体、美しく醜いその金色を壊してしまおう。

綺麗な涙だと思った。
私がもう流せないものだとも。

〈アンタの愛とやらで俺が改心するとでも?〉

ギラリと眼光。
暗闇に支配されたような太陽のような歪な表情。

必要として欲しかった。
誰かに貴方に、貴方にだけに。

眺める世界にはただただ非情な光景が広がり、舐めとった色はひどく淡い赤で余計に悲しくなる。
もしかしたらただの夢かもしれない。
それでも呆然と立ち尽くしたまま声を拭い続けた。








「まったく、困りましたね」

窓の外はもうすぐ本格的な雨になるだろう。
灰色に染まった空を見てジェイドは溜め息を吐いた。

それは記憶。
彼が望まぬ最悪のシナリオ。
それは未来。
進むだけの時を止められないまま。
有り得ない、そう言い切れる?

「また白昼夢でも見たのか?」

ガイは微笑み優しくジェイドの手を握る。
あたたかい、血の通った肌。
それだけは紛れもない真実であり正義であり祈りだった。


「俺はずっとアンタの傍に居る、この戦いが終わってもずっと。
……俺は復讐よりアンタを選んだんだから」

信じられる言葉、潤む空色の双眼。
ああこんなにもいとおしい。
強く抱き締めキスをして、何度でも。

私は貴方をこんなにも愛している。





「俺はジェイドが好き」

足音が聞こえる。

「それ以上のものなんて無い」

終わりへの、はじまり。
最高の笑顔で。



耳許で囁いてあげる。
愛はすべてを、奪う、こと。


「今だけは、ね」



見たいのは、絶望だけ。
他の下らない感情は欲しくないから。



本当に馬鹿ばかり。












end



夢→忠告
ガイの裏切り→ジェイドは信じたくない→それを嘲笑う素敵なガイ様
がっつり趣味です

基本的に私ガイ様が幸せならそれで良いので笑
久々すぎてジェイドの性格崩壊
盲目ジェイドを書きたかったんだな多分

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