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分かってるんだ、俺は幸せにはなれないし、なる気もない。
罪は抱えきれないほど。
失望はもっとそれ以上に。
止まらない感情と、それすらも凌駕する虚無感。
誰も居ない。仲間は誰も居なくなってしまった。
響く足音、それは迷いなく俺を殺しにやってくる。

握りしめた剣、見渡す青い空。
戦争なんかじゃない、これは制裁なんだろ?
俺は神を冒涜した預言を覆した、醜い悪魔の手下なんだろ?

ああ馬鹿だなぁ、こんな人間共を救おうとした俺はもっと馬鹿だけどな。
髪を切る前の自分を思い出す。
あの頃の俺の方がまだ人間出来てたんじゃないかな。
ま、俺はレプリカだけど。



「会いたいなぁ」



もう一回会えるならあの白い花が似合う人に。
困った笑顔でも良い、笑って欲しい。



「考えるのは後にしろ、復讐が先だろ」


飛んでくる光弾、弾き返す剣。
俺、ほんと馬鹿だけどほんとに強いから、きっと全員殺せる。
一時期は英雄だったくらいだし。
笑えるぜ、その玩具を俺に命中させることだって出来ないだろうに。
屑共にやる命を俺は持ってねぇ。


「冤罪で処刑……そうでもなけりゃアイツ等が殺される筈がねぇ。
そうだろ、レプリカ」


一つの器に二つの魂。まるで二重人格者の様に。
別に主人格がどちらでも関係なかった。


「ああ、今は……」


大きな爆発。これはアッシュの力。
散った肉片が付着する、不愉快で仕方ない。


「全員殺すのを優先した方が良いよな」


剣を振り続ける。
気が付いた時には本当にもう其処には誰も居なかった。



全てが赤くて、涙が流れたのかすら分からなかった。















end













魔王ルークとアッシュは書いたことなかったので。

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