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「ロイド、君が悪かったんだよ?」


甘い甘い、優しい声。
言葉の内容とは真逆の幼い音。

倒れたまま動かない仲間達。


ロイドは膝をつき、ミトスを見上げた。
この後どうなるのか、彼は分かっている。
敗北者は勝者には逆らえない。
たとえ殺されたとしても勝者が正義。


争いを止めて、世界をひとつにしたかった。
その考えが間違っていたとは思わない。
だが、救いたかった何かを無くした時、ミトスがこの選択をした意味も痛い程分かる。
世界を二つに分ける、それも正しかったのかもしれないと気付いてしまった。


「大切な人を守れない位の力なら、無いのと一緒だよ」


少年の横には眠る青年。
もう昔の様には戦えないからと笑い、ダイクの家に残った筈の。


「ねぇロイド、僕はクラトス以外皆殺すよ。
勝ったのは僕だから文句無いでしょう?
……でも君には選択肢をあげる」


ミトスは宝物の様にクラトスを抱き締める。
まるで縋っている様にロイドには見えた。


「このまま死ぬか、仲間を見殺しにして天使になって僕とクラトスと共に来るか。
腹立たしいけどクラトスは君の事を大切に思っている様だからね、許してあげる。
どう?君にとっても良いと思うけどな、ずっとクラトスと一緒に居られるんだから。
もちろん天使になっても感情は残してあげるよ?」


勝者の手が差しのべられる。
すぐに拒絶しなければ。此処まで一緒に来た仲間を見殺しにするなんて出来ない。
出来ない、けれど……。
意識が飛びそうだ、耳鳴りが酷い。





「どうする?仲間か、クラトスか、君はどちらが大切なの?



ねェ、どうするの?」







俺は……。







その言葉を言えば終わる。
耳鳴りが、止まない。















end







どちらを選んだのかはご想像にお任せする感じで…。
どうあがいても絶望がコンセプトです(笑)
私なら迷いなく天使になりますがロイドはどうだろうなぁ。

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