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**ルクガイ**






















まっくらだ。
何も見えない、それで良いんだと思う。
今更見るものなんてもう無いんだから。

最期に映った姿だけで良い。
それ以外要らない。


「ルーク、まだ治らないのね」

この声はティアだ。
目を怪我した俺を毎日看病してくれる。
それでも治らない、当たり前だ。
俺は治りたくなんかない、ティアには悪いけど。

自分で潰した瞳。
生きる事が苦痛なんじゃない。
ただガイの姿が見えないのが悲しい。

だから、ガイをいつでも見れる様に、ガイしか見えなくなる様に。
両目を見えなくしたんだ。

「戻って来て、ルーク……お願い、貴方だけが苦しむこと無い……」

違う。悲しんでるんじゃないんだよ。
ただ見たく無いだけなんだ、ガイの居ない世界を。
だからほっといて、触れないで、ずっとこのままでいさせて。

このままで良い。このまま消えて、ガイのところに逝けたらそれで良いんだ。



そのくらいの夢、叶えてくれても良いんじゃないのか、カミサマ。












end

ティアが不憫だ……

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