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「ああ、ほんとつまらないな」
また始まったよ。
シンクはガイに聞こえる様に大きく溜め息を吐いた。
ガイはくるくるとナイフを器用に回し、壁に向かって投げつける。
軽い音が響いて、それっきり何も聞こえず無音の部屋でただ時間だけが過ぎた。
ガイが仲間ごっこを止めたのはつい最近のこと。
ただ誰とも視線を合わせずに静かに。
禍々しい世界に、自ら飛び込んだ。
「そんなにつまらないならさぁ、戻れば良いじゃん」
ほんとは戻りたいくせに。
光の中に、ただ笑って生きていきたいくせに。
復讐なんてもう出来やしないくせに。
「此処は自殺するために存在してるんじゃないんですけど?」
ガイは何も答えない。
ただ一滴落ちた雫を、シンクは見ない振りをした。
それしか出来ない自分を殺してやりたかった。
end