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□那由他の彼方
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少し迷ってしまった。
誰かを殺してまで生きる意味が分からなくなってしまった。
何も考えずに振りかざしていた腕を剣を、どうしたら良いのか分からなかった。

だからこれは必然。殺されるのは当然。
後ろでミトスたちが叫ぶのが聞こえた。
すべて遅い。この傷ではもう手遅れだ。
3人が私の名前を呼び続けている。
遠くなり、消えてゆく、視界の端を彩る黒。





それは祈りにもならない。




<それで誰を守れた?>
自分が殺した幾億の命。幾千幾万無数に伸びる腕。
<お前は何を守れた?>
散る花は美しい。散る命は尊い。
赤より黒、それ以上に汚れた刀身をまた誰かの体に刺して刺して刺して。
生きる為に仕方なかった?嗚呼なんて甘美な響きだろう!

<誰かを守る為に戦ってるのはお前だけではない、理由も無しに戦う者は僅かしか居ない>
沈んでゆく水の中で響く声と侮蔑の視線。
どんな理由をつけたら良かったのか、私が許される正当な理由は何だったのか。

呻き声を泣き声を叫び声を断末魔を消して生き延びた。
卑怯な手など幾らでも使った。私はまだ死ねないと思っていたから。


でも、もう終わりだ。


「クラトス」

橙色はぼんやりと光を放つ。
水面が歪む、けれど彼はただ視線を逸らさず見つめ続ける。
身動きなど出来るはずが無い。
息もせず空気が肺から抜けてゆく。

それはただの現象。
何もしなくても進む秒針。

戦って救えたものは何一つ存在せず、贖罪すら罪だった。
消えることさえ死ぬことさえ許しには程遠い。


見知らぬ青年が目の前で笑う。
聞いたことの無い筈の声、けれど懐かしい音。

「クラトス、まだ死ぬにはちょーっと早いんでないの?」

人の悪そうな笑みで赤い長髪の青年は手を差し伸べる。
その手に触れた時、体に傷は残っていなかった。

「此処でクラトスが死んだら運命変わっちゃうでしょうよ」

薄れゆく意識の中で彼は言う。
やはりその声は何処か懐かしかった。










「すまない、世話をかけたな」

「良くなって安心したわ。
正直私の力ではどうにもならなかったのだけれど……偶然通りかかった、とても個性的な仮面の剣士様が治療して下さったのよ。
私より遥かに強い癒しの力でね」

「その上残ったモンスター達も瞬殺……何者だったのだ?」

「悔しいけど僕たちとレベルが違いすぎたね。仮面の趣味はおかしかったけど」










「……ふふ、派手な仮面の剣士か。ゼロスよ、相変わらずだな」

クラトスはひとりで密かに微笑む。
私は彼を知っている。誰よりも深く、運命より強い絆。












「また四千年後に」


















end





ゼロスはクラトスが大好き過ぎて時間跳躍とかしてれば良い。
ファンタジアで時空跳躍出来るんだからゼロスとクラトスは余裕で出来ちゃうと信じてる。二人は規格外!

ちなみに二人は時空跳躍しっぱなしだから勿論レベル200。チートですね。
ミトス達はレベル99くらいて言う勝手な設定。

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