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時間が進む音がした。
一瞬の様で永遠の様な空間に佇んでいる。

終わりが近いのだと、世界は囁く。











<……お前の気持ちは分かってるのに一緒に居られなくて、ごめん>

悲しそうな瞳で泣きながら謝ってきた愛しい主。
止め処なく落ちる雫を拭い、彼は笑った。

<気に病む事など一つもありませんよ、貴方がしたいことをおやりになれば良いのです>

たとえそれが、誰を巻き込み、誰を殺してもヴァンにとっては正義でしかない。
正気ではないと人は言うだろう。
愚かな行為だと恥ずべき事だと後世に残されるだろう。
それでも彼にとってはガイが正義、ガイが望むものこそ至高。
ただそれだけ。

「ガイラルディア様」

呟くだけでゆっくりと壊れてゆく。
次にこの名前を呼ぶのは自らが消える時だとヴァンはひとり笑った。

遠くで轟音が響いている。
その強すぎる力は、三人の命など軽々と奪ってしまえるのだろう。













全て分かっていた。
その剣が一度も本当の意味で自分達に向けられていなかった事。

詠唱中、何度でも妨害出来たのにしなかったのが証拠。
放たれる術は簡単に三人の命を削っていった。
それを、望んでいるかの様に。

「参りましたよ……どうすればより深く心に傷をつけられるか、貴方は本当によく知っている」

ガイは殺されるのを望んでいて、それは私達で行わなければいけない。
まだ殺意があった方が良かった。
仕方なかったと、大義の為と自分に言い訳が出来るから。
けれどこれでは自分を騙す嘘すら吐けない。
永遠に苦しみ続けるのだろう、誰も彼もが。

「素晴らしい復讐ですよ、ガイ」

放たれた神の雷は白く輝き、ジェイドが愛した逃避の夢を簡単に砕いた。

















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全然終わらない予感…
まだルーク視点書き終わってないもの…

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