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嫌な音がする。
肉を骨を削ぐ、命を奪う力を持ったもの。
容赦ない奔流が更に終わりを近くする。

「ま、こんなもんだろうね」

「……ああ」

シンクとアッシュは全身に走る鋭い痛みに生きている事を実感していた。

つまらない人生だったけど、こんな終わりなら悪くないのかも。
幸せだよ、僕は、幸せだった。
アンタ達にも分けてやりたいくらいにね。

「貴方は、アッシュは、ガイは」

「……なんで死に急ぐ様な事したの?」

ティアとアニスが涙を溜めて二人を見つめる。
その瞳には罪悪感しか無く、敵に勝ったと言う達成感は微塵も存在していなかった。


これから先背負い続ける痛み。
思い知らされる醜さ。


「さぁ、な。
俺達はただ願っただけだ」

生きている意味が見つからない。
燃えて残った不要な存在。誰が許してくれる?
生きていて良いと抱き締めてくれる?



綺麗事で救われたならどれ程良かっただろう。
皆で手を取り合って笑って未来を夢見る、幸せな世界。


実現するにはもう時間が経ちすぎていた。
ただそれだけだ。


「アッシュ、わたくしは貴方を本当に愛していました……けれど貴方の心には響かなかったのですね」

ナタリアは弓を下ろし、血塗れの思い人に告げる。

返答を聞くまでも無いこと。
アッシュは自分では無くガイを選んだのだから。
彼の微笑みが答えだった。

「ナタリア、お前は強くなった。……俺が守らなくて良い位に」

それは決別の言葉。
さようならと同じ、聞きたくないもの。

しかし最期の言葉になってしまうこともナタリアは分かっていた。

覚えておこう、せめて貴方のことを。
別離の言葉でもずっと刻み付けておこう。

「俺は、ガイと共に行く」

その笑顔は彼女の一番好きだった美しくどこか影のあるものだった。


「そろそろおしまいだよ、残念だけど……仕方ないね」

視界が揺れる。
シンクはただ焼き付けていた。
ガイが微笑んでいる。
それだけで僕は生まれてきて良かった。

また生まれ変わったら傍に居ても良いよね?
仕方ないからアッシュも一緒で良いからさ。


三人で生きていけたら、それだけで。










意識の途切れる瞬間、ただ、願った。









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まだ終わらない
ナタリアがひたすら可哀想だけどアッシュはナタリアのこと好きだったと思う
ただガイがその上を行っちゃっただけで
女性陣vsアッシュとシンクみたいな…
次は漸くガイとルークたまにジェイド!
今回ガイ全然出てない仕方ない!

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