2

□08
1ページ/1ページ





一閃。叫び。絶望。
赤いソレと肌が裂けて溢れるソレ。

美しくも醜くもない。
雷鳴の後に立つ彼は誰も見ていなかった。
未来も過去も今すらも。



終わったんだ、もう、全部。
だからさようならで良いじゃないか。
延々と言い訳をしても聞いても何も変わりはしない。



ルークは剣を放り投げ命が終わる間際の青年へ駆け寄る。
抱き締めようと腕を伸ばし、しかしその行為は叶わなかった。
槍が彼の喉元にあり、もう一歩前に進んだら引き裂いてしまうだろう。
その槍はガイに神の雷を放った仲間だった。


「何すんだよ!ジェイド!」

「……そんな資格は無い、私にも貴方にも」


ジェイドはただじっとガイを見つめた。
何も言わない、綺麗な双眼。
きっとこの世界から消えてしまうまで閉じられる事は無いのだろう。

強い意思。
結局は負けたのだ、私たちは。
彼らの祈りや愛や憎しみに。
<ガイ>と言う存在に庇護されていた、きっと誰もが。
だからもう全てが終わる、彼はもう死んでしまうのだから。



「資格なんか関係無い!
俺は、ガイの側に居たいだけなんだよ!」

「……貴方は今ガイに触れて、ガイを忘れられるのですか?」


訳が分からないとルークはジェイドを睨み付けた。
しかしその視線を流し彼は続ける。


「ガイは消えます、二度と会えない、それでも私たちは生きていかなければならない。
何故ならそれが世界の正義でありガイたちの復讐だからです」


思慕の情を持ち続けても永遠に叶わない、それでも今抱き締めたら縋ってしまうだろう。


「抱き締めたらガイは優しい言葉を吐くでしょう。
そしてこれから先、その呪縛からは逃れられない」


ガイが微かにこちらに視線を移す。
空色は何も変わらずただじっと、世界を憎んでいる。
口許が小さく動いた、紡がれたのは美しい声。




「俺は、二人と行く。
ヴァンデスデルカを待っててやらなきゃ」


花の笑み。


「皆、勝手に愛して勝手に裏切られて勝手に傷ついて……俺はもう満足だよ、この先皆がどうやって生きていくのか楽しみで仕方ない」


残虐な唇。


「大切な仲間の皆さん。
殺してくれてどうもありがとう。
じゃあ、さようなら」






彼の最期。
閉じられなかった双眼。



透き通る空色。











next















次で終わる…思いの外ジェイドが喋ったー

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ