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□億年の恋
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白い粒が頬に触れる。
何時もより輝くイルミネーションは目に痛いくらいで、クラトスは溜め息を吐いた。
昔は夜になれば灯りなんて滅多になかったのに。
「……星も見えないな」
この世界はもう自分の知っているものではない。
何億年も過ぎて、それでも何とかこの時代で生きている。
「仕方ないよ、人間の選んだ道だもの」
隣を歩く青年は優しく微笑んだ。
かつてユグドラシルと呼ばれた姿まで成長したミトスは当然の様にクラトスの肩を抱く。
遥か昔の悲劇。
涙でしか終われなかった御伽噺。
血が溢れ呼吸もままならない中でやっと告げられた言葉。
<約束するよ、どんなに時間がかかってもクラトスに会いにいく>
大きな罪を犯した僕だから、輪廻に入るには時間がかかる。
それでも絶対に忘れない。僕を愛してくれた貴方のことを。
消える光の粒子。
雪の様に白く煌めき、触れることも出来ないままで。
「僕はこの国が好きだよ。忍者はもう居ないみたいだけど」
この小さな国で再び出会えた。
奇跡はただ静かに穏やかに訪れて、光の様に雪の様にあの時の微笑みのままで。
ただいま、と。
「ホワイトクリスマスだね。一緒に雪だるま作ろうよ」
「……もうはしゃぐ年齢ではない。
昔の様にユアンと雪合戦でもしていれば良いだろうに」
「今年はユアンと姉様一緒にご飯食べに行くって。
もうロイドとコレットみたいに早く結婚しちゃえば良いのにね」
「……ロイドはユアンと違って出来る子だからな」
「あはは、クラトスのロイド馬鹿は永遠に治らないんだろうな」
「失礼な。ゼロスやリーガルよりマシだ」
「ああ、あそこは嫁バカに加えてだもんね……僕も何億年も前からクラトス馬鹿だけど」
そう言って、キスを送る。
間違ってしまった過去を塗り潰して。
もう大丈夫、皆この国で笑っていられるのだから。
人工の光がふたりを照らす。
その影は離れず、足跡を雪が隠していった。
end
皆日本に記憶持ったまま転生してたら楽しいだろうなと言う話。
ユアンとマーテルは恋人同士、ロイドとコレット、ゼロスとしいな、リーガルとアリシアは結婚してます。年齢とか気にしない!子供も居るみたいな…
リフィル先生は密かに御曹司とかと結婚してそう…ジーニアスとプレセアは中学生で清いお付き合い笑