セイギの声が消えるころ

□うしなってみせて
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ごめんなんて言わない。
言ったところで仕方ない。
皆驚愕の表情で此方を見てる。
ああ馬鹿だな、そんなに泣いたって俺はそっちには行けないのに。





「どうしてだよ、ガイ!」

ルーク。お前がそれを言うのか?
全てを奪ったお前が?
明るく俺に謝ってきたお前が?
赦せるはず、ないじゃないか。

「ルーク、悪いな」

一瞬。
宝剣はひゅん、と風を切り肉に刺さった。
心臓を狙わらなかったのは情け?
いいや、違う。

「ルーク!」

ティアとナタリアが駆け寄ってくる。
そこを逃すほど俺は甘くない。
二回剣を振るっておしまい。
今度は心臓を。
首を撥ねるのは気が引けた。
綺麗な女性は好きだからな。

「ガイ、アンタ馬鹿みたい」

「ええ、私もそう想いますよ」

回復役が居なくなった今、二人に勝ち目はない。
諦めたのか笑うだけ。

「そうだな、俺は馬鹿だよ」

復讐をとったんだから。
大切な仲間よりヴァンをとったんだから。
ごめんな、俺なんか信じてくれてありがとう。

「ガイラルディア様」

聴こえるのは、遠い幸せだった頃。
もう何も見えない白い世界。










end

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