セイギの声が消えるころ

□タナトスの雨
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死は皆等しくやってくる。
だから人は光り輝くのだろう。
取り残された私では求められないもの。

成長出来ない私は、ただ輪廻に寄り添うだけ。
誰が死のうと、誰が老いようと、ただ等しく無力に寄り添うだけ。

あの笑顔たちも、あの涙たちも、あの怒った顔たちも。
思い出にしかできない。
共に逝くことは許されない。












外は今日も雨。
クラトスはただ無言で窓の外を見ていた。
あの戦いからもう何年経ったのだろう。
時間から拒絶された体ではもう感じとれない。


昔、ずっと昔の事だ。
愛した人が居た、本当に心から守っていきたいと思った女性。
その人との間に生まれた愛しい子。

離れられなかった。
超えてはいけない何かを知っていたのに。

クラトスはゆっくりと窓に触れる。
あの日もこんな天気だった。
暗くて光も見えなくて、ただ目を瞑っていただけの自分。


「俺が父さんを守るよ、ずっと、死んだって」


そのぬくもりだけに縋っていたくて、全てから目を背けた。
世界の変わりゆく姿も、死からも、何もかもから。


人はいつか死ぬ。
生まれ変わりなど有り得ない。
けれど、これで終わりなんて、悲しすぎる。

だから彼は願った。
どんなに遥かな未来でも、もう一度巡り会える様にと。
どんな姿でも、もう一度触れられる様にと。
愛しい息子の亡骸に白百合を添えて。




これから先、どんな孤独にでも耐えていけます様に。
どんな過ちも正せます様に。
終わってしまった命の分まで。























「お前の名前は……もう決まっているか」


彼はただ呟き微笑む。

鷲色の子猫。
勝ち気な瞳で、視線を逸らさずにこちらを見ている。
優しく撫でてやると、子猫は嬉しそうに鳴いた。











「おかえり、ロイド」

















end




多分赤い毛並みの猫とか金色の毛並みの猫とか、ピンクとか水色とかもうわんさかハーフエルフさんたちのお宅に来てると思う笑

マーテルのとこにも金髪子猫が来てる気がする…ユアンには懐かない笑

続編書こうかな…気が向いたら書こう!

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