セイギの声が消えるころ
□斜陽の楽園
1ページ/1ページ
このまま終わってしまえば良いのに。
その考えがいかにおかしいものか、彼は充分に分かっているつもりだ。
それでもやめることが出来ない。
ぐるぐると回り続けるそれにただ身を委ねたくなる。
剣を突き刺す瞬間の肉を断ち切る生々しさ、浴びる血のあたたかさもただ生きる為の行為であるだけで。
コレットを守る?世界を救う?
そんなこと、もう、どうでも良いんだよ、父さん。
アンタと俺が生きていればそれで良いんだ。
こんな考え、父さんは怒るだろうなぁ。
「クラトス」
呟くだけの名前。
真実を知ってからもう本人の前で告げる事はないだろう。
クラトスは父さんだ。父さんは俺の大切な人。
父さん、は血の繋がってる最愛で親愛でなければいけない人。
禁断、って言うんだろう。
沈んでいく。尽きていく。
羽のはえたアンタは俺の手の届かないところに、俺の気付かない間に。
繋ぎ止めておけない?どうしたら良かったんだろう。
見送るその蒼い羽を粉々にしてやりたい。
そうしたら一緒に死んでくれる?
「じゃ、な。父さん……元気で」
こんな事を言いたいんじゃないのに。
なんで俺をおいていくんだよ、俺が大切じゃないの?
なんでなんでなんでなんで。
止まらない、でも止めなきゃいけなことだ。
俺はこの世界に<必要>なんだから。
クラトスはこの世界に<必要じゃない>から。
「ロイド、ありがとう」
ああ、そんな顔で笑うんだったらやっぱり。
やっぱりあの時殺してやれば良かったんだな。
どうせまた苦しむんだろ?
何千年と独りでたった一人で暗い宇宙を彷徨う。
誰も居ない空を眺めて溜め息を吐いてまた星を探して。
「元気で」
救えなかった人たちが居る。
ひとりはミトス。
ひとりはクラトス。
死んだ人たちは俺を恨んでいただろう。
救う力もないのに手を出して苦しめたんだから。
キレイゴトでセカイは回らない。
誰も救えない。救えないんだ。
触れるぬくもりも最期。
何度もクラトスを後ろから突き刺すのを想像した。
それで好きだって言うんだ。
ただ思うだけ、だから、許してくれるだろ?父さん。
「……ああ、そうだな」
離れたくないなんて我が儘言わない。
俺は何回夢を見るだろう。
何度夢の中で大切な人を殺すだろう。
何度目でそれが正義だと感じるようになるだろう。
いつかそれが現実とすり替わるだろうか?
俺が夢に住めるまで。
ただ理想を押し付ける。
本当は、一緒に来いと言って欲しかった。
ただ、それだけだった。
end
壊れ気味ロイド(´・ω・`)
近親相姦だからさ…軽くは書けない。個人的に。
幸せなのはちょっとな…と思う笑
禁忌ですよ禁忌(´・ω・`)
若干アシュガイの 世界が消える夢を見た と関連が(´・ω・`)