セイギの声が消えるころ

□エデンが終わる日
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道を違わずに生きていければ良かった。
そうすれば誰も傷つけずに、誰も泣かせずに、誰も憎まずにいられたのに。
醜い感情なんて無縁の世界で生きていけたのに。











「夢を見続けていられる人間は、良いな」

本当は少し期待していた。
この感情が何時か消えていくんじゃないかと。
俺は綺麗なままルークと和解して何か詭弁を吐いて、親友になる。
そんな気持ち悪い夢。きっと誰もが願った結末。

長年消えないから怨念と言うんだ。
ドロドロとそれは消えない、永遠に、死ぬまで。


「ガイ、嘘だろ?なあ!」

見つめた。ずっと、忘れない様に。
美しい夢は覚めた後に傷を残す。拭えない痛みを伴って。


「羨ましいよ、ルーク、皆、お前を愛してる」

だからまだそんな言葉が吐けるんだ。
俺を信用する信頼するみたいな言葉を。
何の罪悪感も無く、吐けるんだろ?






宝剣は薄く蒼い光を放っている。
それを握りしめた青年は無表情で、ただ見つめていた。
かつて仲間だった人々を冷めた視線でじっと。

ずっと決まっていたこと。
俺が皆を裏切ること。レプリカを許せないこと。
死ぬまでルークを憎み続けること。
それは預言、にも、似た。


「さよならだ」

綺麗な空。ガイは陽光に遮られ見えなくなった道の先を見る。
もう何も見えない。それが当然のことだった。
必要とされずに散っていくだけの惨めな存在に成り下がったのだから。




未来が見える。
俺はそう遠くない先に自ら命を投げ出すだろう。
皆のトラウマになる様に最低なやり方でこの世界からいなくなる。
そしてルークは幸せに天寿を全うして。
絶対に、間違いなく幸せになるんだろう。








「ああ、なんでだろうな」







もっと美しかったら良かった。
ティアみたいに強い覚悟を持てて、アニスみたいに屈託なく笑えて、ナタリアみたいに立ち向かっていけて、ジェイドみたいに過去を認められる。
そんな人間になりたかった。




そして何より。
そんな素晴らしい人間たちに愛される人間に。






ルーク、お前みたいに。










俺はなりたかったよ。




















end




ガイはルークのこと羨ましいだろうなって話
今までルクガイ書いててしっくりこなかったけど、今回は初めてしっくり来た笑
今後ガイはルークに憧れてて逆もしかりって
設定でいこうと思います

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