セイギの声が消えるころ

□使い捨ての蒼
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白の咲き乱れる世界は、彼の悲しみだけを際立たせる。
花は一瞬の命を看取られることなく散らせ、人の命も同じで。
生者の葬列はただ虚しく、そこに故人はもう存在しない。




「自分のしたことは返ってくる。当然のことだろ?」

きらきら。きらきら。
幻想的な楽園で。

「それが貴方の罪ですか?」

誰より何より深い落園。
消えない祈りと終わらない懺悔。

「さぁ、どうだろうね」

手向ける花束。
消えるはずのない幸せな日々の記憶。
彼は少し伸びた髪を風に遊ばせ、見える紺碧の果てを探した。




















「いらっしゃい」

彼の屋敷には、彼の瞳の色に似た刀身の剣が飾ってある。
静かに光るそれは彼の性格を示している様だった。

彼はずっと笑っている。
墓標に手向けた彼と同じ花を摘む時も海を見ていた時も。
あの時より痩せた白い彼。
後ろ姿はあの時、勇ましく美しく戦った<ガイ>のものではなかった。


「ガイ、」

「……俺はガイラルディア、だよ」

「そうでしたね、失礼しました」

ジェイドは失言だと瞳を伏せた。
そうだ、彼はガイラルディア。
ホドに全てを置いてきた、ホドに全てを捧げる人。
自分の知っているガイでは無い。


「はは、気にしてないさ。
今日聞きたいのは剣を握れる様になったかだろ?
残念だけど……剣を握れる様になったとしても、俺は二度と戦わない」

誰の命も奪えない。
どんな色の血でも見るのは嫌だ。
命を断つ音、感触、悲鳴、縋る手、罵倒、罵声、恨みのこもったあの視線。
もう俺では背負えない。



「分かっています。世界は平和になった……だから貴方が辛い思いをして剣を振る必要はない」


私が聞きたいのは。
聞かなければいけないのはそんな事ではない。
思い出に奪われるその前に、どうか言って欲しい。
その笑みを解いて一度だけでも。


「ガイラルディア、貴方は……幸福ですか?」

生きていたいと、思ってくれていますか?
その隣に居るのか私でなくても構わないから。


「もちろん」

冷たい笑み。
散らす花びら。ぬける蒼。
幻想は現実にはならない。
甘い甘い砂糖菓子。何を期待しているの?














「今すぐにでも死にたいくらい幸福さ」

















end



剣握れない設定のガイです。
書きやすいから量産しそう…

なんかこれでシリーズにしよかな! 楽しい!自分だけかもですが笑
書き方をロマンチックな感じにしようとして挫けました…ジェイド難しい!

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