舞葬

□ゆきしろおかにて
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季節通りの雪でした
まっさらな大地
まっかな君
救いたかったのは、自分




愛してると口にする度に君は遠くなって
愛を口で語る必要なんてないんだと笑っていました

でも僕は不安で仕方なくて
だって僕達は男同士で
子供だって出来ないし、体だって骨ばっかりだし
抱き心地最悪だし…



君はその度に僕を宥めてくれました
疲れ果てた体のぬくもりを僕に与えてくれました
今思えば君は優しすぎたのでしょう
神様が嫉妬するくらいに、優しすぎて綺麗だったから
だからさよならが早かったのでしょう

舞い散る粉雪に触れて
呆気なく消えるそれを眺めると
まるで君を見ているかのような錯覚

涙は出ない
君が居た季節
ゆるりはやく巡って欲しい
記憶のまま、綺麗なまま









雪の散る丘
眠る太陽
消えそうな願い
組まれた手
青年は永久を信じられず
安息を願い、命を投げ出しました
生きると言う責務を拒絶したのです



赦されたいとは思わない
ただ君を、ただね






ああ、かみさま
どうして彼を連れていったのですか?
僕には彼が居なければ駄目なのに
愛をくれた彼が居なければ意味がないのに

かみさま
かみさま

誰を憎めば良いのですか
この白い丘の上で
僕は彼を見つけ出せずにいるのです







太陽に消える雪


















end

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