家庭教師 夢

□Don't take out a hand.
2ページ/5ページ










その日は部活が終わるのが早かったから
うさぎを家に誘った。

「ゆっくりして行けよっ」

「う・・・うん。」


うさぎはやっぱり元気がない。


「なぁ〜うさぎ〜
最近どうした?元気ないぞ?
俺心配だぜ?」


「・・・ごめん」


と行った瞬間だった。



ブルルルル!




「!?」


うさぎの顔色が変わった。


「っ・・・まただ。」


そうつぶやくと
うさぎはパカッっと携帯を開くと
深くため息をつく。


一発で分かる。

その憂鬱そうな顔を見ただけで。


そのメールの送り主がうさぎを困らせている。



「ったく、うさぎ・・・
何があったんだ?誰からのメール?」


俺はうさぎの頭を優しくなでると、
うさぎは俺の胸に腕を回して抱きついてきた。



「うさぎ?!」


こんなに大胆にスキンシップしてくるうさぎが
すげー珍しくて、
俺は少し戸惑っていた。


だけど、


うさぎの肩は震えていて、
なんかすげー小さく思えたから、

思わず俺も、やさしく抱きしめた。



「っ・・・ふぇ・・・っ」


俺は自分の胸にうさぎの頭を寄せて、
そのままやさしく撫でてやった。


「あのね・・・、山本君っ」


うさぎは泣きながら
震えた声で俺に話してくる。


「最近、私にすごくつきまとってくる人がいて・・・」

「男か?」

「うん。」


うさぎの話によると、
うさぎの女友達から勝手にうさぎのアドレス聞いて
うさぎにものすごくアプローチしていたらしい。

で、うさぎが彼氏がいるって言ったら
アプローチがだんだんエスカレートしてきて
最近ではほぼストーカー状態。


「さっきのメール何てきたんだ?」

「うん・・・」


うさぎは俺にさっき来たメールを見せてくれた。

そこには、


“俺とお前は繋がる運命だ。
お前が俺を見捨てるというのは
この世に対する裏切りだ。

お前を殺してでも手に入れてやる。”


と書いてあった。


「私、怖くてっ・・・
でも、山本君は部活だってあるし
その・・・言えなかったの。
ごめんなさい。」

うさぎはほんとに申し訳なさそうに
俺に謝ってきた。


「別に、そんなのどうだっていい。
うさぎ、話してくれてありがとな。

心配すんな。
どこのどいつだか知らねーが、
俺が守ってやる。

そうだ、明日からは必ず一緒に帰ろうぜ?
不安だったらずっと一緒にいてやるし
朝だってお前の家まで向かえに行ってやる!」


俺が今うさぎに出来ることと言えば
それだけで・・・。

だから、大事なうさぎが
どこの馬の骨かもしれない奴に壊されない前に
なんとかしてやりたかった。


「ありがとう・・・山本君」

「気にするな!」

うさぎはやっと笑ってくれた。
それが何より俺は嬉しかった。







 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ