家庭教師 夢

□前髪王子の不思議な後輩
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あいつは、



どんなに豪勢なパーティーよりも


青空の下でのお茶会を好んだ





どんなに高価な宝石よりも


花をもらう方が嬉しそうだった









王子としては、意味不明。



















前髪王子の不思議な後輩




























「ベル先輩?お茶飲みますか?」


「・・・いらね。」







今日のうさぎの行動は

王子にとってやっぱり意味不明




「そうですか・・・
じゃあ、一人でティーブレイクします〜

話し相手欲しかったんですけど。
まぁいいです〜」


「誰が話し相手にならねーって言った?」


「え?」


「王子にお茶入れろ。」


「???」




ボス、スクアーロ作戦隊長とレヴィ、マーモン、ルッスーリアは
なんだか知らねーがパーティーがあるらしくて居ない。

そのパーティーに俺とうさぎも参加の予定だったが



「私は、いいです。」




うさぎの言葉に周りが一瞬静まり返った。


「ヴオォォォオォォォイ!!!?

なんでだ!?」


「だって、その時間だったら外の方がきもちいから」






で、俺もうさぎが居ないのはつまんねーから
屋敷に残ったってわけ。










ほんと、うさぎは俺にとって不思議な存在。











この前もそうだ

うさぎはヴァリアー内紅一点だからか
うさぎの部下たちからもモテモテで

ちょっと天然なところとかまじ可愛とか言って
寄ってくる虫共。


そんな中にうさぎの誕生日に宝石をプレゼントした奴がいた。


「うさぎさん、これ・・・俺の気持ちです!」

「へ?」

「受け取ってください!」

「でも、こんなのもらえないし・・・
彼女にでもあげなよ?ね?」


そう言って受け取らなかったうさぎ。


いや、さすがの俺もうさぎにプレゼント渡した部下に
同情しそうになっちまった・・・


まさか、好きな人に、彼女に上げろって。

彼女いねーからこうやってうさぎによってんじゃねーか。



しかも、宝石って、女は目がねーだろ?

後輩からの気持ちとでも思って貰えよ。


「何でもらわなかったんだよ?
もったいねー。王子ならもらって売るね」


「だって・・・もらっても、あんまりピンとこないっていうか・・・」

「あ?」


そのとき、マーモンが手に沢山の白い花をもって
ふわふわ飛んできた。


「うさぎ、誕生日おめでとう。
僕は金は掛けたくないんでね。
そこに生えてたのとってきた。」


とかなんとか言っていたが

マーモンがうさぎに渡した花には

丁寧にリボンまで結んであった。

ちゃんと特注で頼んでんじゃねーかよ。

ししし。




「うれしい!ありがとうございます
マーモン先輩・・・・!」


うさぎはマーモンに差し出された花を
すげー喜んで受け取った。


その時のうさぎの笑顔は


なぜだろう?


王子目が離せなくなってた。



意味不明。










「ベル先輩?」

「あ?」


テラスの椅子に座っている俺に

うさぎが優しく声をかけてきた。



「お茶、入りましたよ?」

「ししし」


俺はうさぎのいれたお茶を飲む。

あぁ、このお茶、

うさぎが毎日育てているハーブだなと

すぐに分かった。



うさぎがまとっている香りと

似ているからだろうか・・・



「わぁ・・・風が気持ちいいですね。」



うさぎは穏やかに笑っている。



「ベル先輩、どうしてパーティーいかなかったんですか?」

「しし、だってうさぎいかなかったらつまんないじゃん」

「え?・・・」



しし、うさぎは俺のベタなセリフに
顔を赤く染めている。


わかり易い奴。














王子がうさぎを好きになったのは

うさぎの誕生日の次の日



マーモンに貰った、手に抱えられるくらいの花で
大喜びしている無邪気なうさぎを見て

ひらめいた思いつき



「うさぎ、明日王子とデートな?」

「えっ!?」

「ししし」



そしてうさぎを連れていったのが

沢山の花が一面に咲いている花畑。


ちなみに俺の所有物♪



「うさぎどーだ?」

「すご・・・い」


「俺からの誕生日プレゼントはこれ

この一面の花、全部うさぎのにしていいせ?」


そういうと、うさぎは振り向いて

俺に、


「ベル先輩、ありがとうございます



大好きです」




そう言った。



そしてうさぎはそのまま花の中に消えていったが


俺の心臓の鼓動の音は消えなかった。




うさぎのあまりに無邪気な笑顔に

吸い込まれそうになったのだ。




不思議な感覚




また、意味不明。



“恋”って、意味不明じゃん・・・













「・・・ル・・・せんぱ・・・」


「あ?」


「どうしたんですか?ぼーっとして・・・」


俺はうさぎの声で引き戻されたが

どうやら色々思い出に浸っていたらしく

ぼーっとしているようだった。



「ししし、うさぎのこと、考えてた」


「っ///もう、そうやって、

すぐ後輩をからかって・・・!」


「本当だってば。

うさぎに惚れた日のこと思い出してたの」


「ぅえ?!」


俺の大胆発言にうさぎは戸惑っていた。


「ししっ、顔真っ赤じゃん。
王子嘘ついてないよ?うさぎのこと好きって本当だし。」


「だって、なんの前置きもなかったし!」


あぁ、まぁうさぎにしてみれば突発的だったかもしれないが

王子にとっては今頭の中で回想がめぐるめぐったっていうか・・・



「んなことどうだっていいじゃん。

王子がうさぎ好きだってことにかわりはないし。」



「そんなの・・・」


「で?うさぎはどうなのよ?
王子のこと好きなの?嫌いなの?」


「えぇ・・・嫌いなわけ・・・」


「じゃあ、好きなのね?ししし

じゃ、うさぎ王子のものになっちゃう?」


そう言ってうさぎの顎に

俺の手をすっと伸ばす。



「なります・・・」


うさぎは赤い顔でゆっくりそう言った。


「しし、いい子」


そして、甘くキスをする。







不思議な感じだ。


愛のあるキスがこんなに甘いなんて



こんなにどきどきするなんて・・・




唇を話せば微笑んでいるうさぎがいた。






たまらなくうさぎの笑った顔がもっと見たくなった。

うさぎの喜んでいる顔が見たくなった


そうだ、来年の誕生日はお前の部屋を

花でいっぱいに埋めてやるよ。


入った瞬間うさぎはびっくりするだろうな・・・










しし、姫の喜ぶ姿を見れるんだったら

なんだってしてやるぜ?




だって俺、王子だもん







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