家庭教師 夢

□僕のお気に入り
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学校はどこを見ても群れている奴らでいっぱい。



特に女子という生き物はそうだ。



群れて群れて、群れて、群れて・・・






腹ただしい




本当なら全員噛み殺してやりたいくらいに・・・








そう、女子はそういう生き物だと思っていた。





彼女に会うまでは・・・。









「うさぎ〜、あんたこれやっといてくれない?」

「は〜い・・・」




不意に目に入った光景。





掃除当番を一人で任されてしまったらしい彼女・・・


なに?

お人好し?


一人で階段全部とか、大変でしょ。





僕はそう思いその時はその場を去っていった。





次の日、



「おい暁〜このプリント教室に持って行ってくれ」

「はい!」



僕はまたも偶然にも昨日の彼女を見かけた。



こんどは先生に何か頼まれているみたいだけど・・・



「一体何日分のプリントを渡したんだい?」



純粋な疑問がつい口に溢れた。






彼女はよろよろしながらプリントを運んでいる。


それもそうだろう・・・


プリントが多すぎだ。






・・・そんな彼女を僕は助けない。




だって、自業自得だと思うから。



できないなら断ればいいんだよ・・・。





と、思っていたが、


ふらふらふらふら


危なっかしい彼女を


なんだかどうにも見ていられなくなった。






だから、彼女の持っているプリントの山を


すっと持ってあげた。



「へ!?」




彼女は間抜けな声を上げている。





「なんだい?キミ僕が荷物持ってあげてるのに
文句あるの・・・?」

「え・・・雲雀さん!?」



彼女は僕が荷物を持ってあげたのが
とても以外だったらしく、


僕の顔を見るなり驚いていた。



「へ〜、キミ僕の名前知ってるんだ・・・」

「あ、あたりまえです・・・」


彼女は下を向きながら、そう言った。



「ふーん、僕は君の名前知らないのに
君が僕の名前知ってるっていうの何かむかつくから
君の名前教えてくれない・・・?」



・・・本当は知っていた。


昨日うさぎと呼ばれていたし、
さっきも暁って呼ばれていた。



「私は暁うさぎです・・・」



「そう、じゃあうさぎ、聞くけどさ
どうして昨日一人で掃除してたの?」


「え?」


「昨日、ほかの当番の子達に頼まれて
キミ一人で階段掃除したんじゃないの?」



うさぎは僕の顔を見つめるように見ていた。


「どうして、それ・・・」


「質問してるのは僕だよ?」


「あ・・・そうでしたね。
はい・・・、昨日は一人で階段を掃除してました。」


あぁ、解せない・・・



「なんで?キミ、もっと自分を主張しなよ。
このプリントの山だって
無理なら無理っていいなよ。」


「でも・・・」



うさぎはそう言うと


すこし微笑みながら言った。




「だって、誰かがやらなきゃいけないことだから・・・」



僕は、その笑顔になぜか吸い込まれるような感覚を感じた。





「・・・腹、立たないの?」


「そりゃ、何でこんなに理不尽だなって思う時もあるけど・・・」



「けど?」



「私がやって、誰かが助かるなら、それでいいかなって・・・」



なにこの子。



僕には理解しがたい・・・



むかつく相手は咬み殺して生きてきた。



なのに彼女は、



相手を丸ごと飲み込む・・・包容している。



まるで、大空のように・・・・









あの、小動物沢田綱吉の目に似ていた・・・









「ふっ・・・キミ面白いね。」


「へ?」


「僕君に興味もったみたい。」


「え?どういうことですか?」




どういうことって、



それは決まってるじゃない。













僕のお気に入り

















ってことだよ。













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