家庭教師 夢

□最終話
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うさぎ・・・うさぎ・・・・うさぎ・・・





うさぎ・・・うさぎ・・・



















「ベルセンパーイ」










ベルが目をあけるとそこには

毎日嫌気がさすほど見ている

エメラルドグリーンの髪がこちらを覗いていた。



フラン「ベルセンパイ、起きてください。」

ベル「んだよ。フランかよ。」

フラン「ミーで悪かったですね。」



ベルは長い夢から覚めた思いだった。

10年ほど前に自分が起こした初めての殺人


その時の記憶を鮮明に今でもおぼえている。



なによりもうさぎが今でも忘れられなかった。



暗殺者としてヴァリアーに入隊した今

もう人を殺すなんて何とも思わない。



が、うさぎだけは違った。



いまだにベルの胸に罪悪感があった。


あれから何十年も経った今

うさぎはもういない。


だが、うさぎを忘れた日は1日だってなかった。



一緒に成長していたらどんな姿に成長したのだろう

もし記憶を失っていなかったらうさぎは生きていただろうか


そんなことを考えていた。



フラン「ベル先輩、質問があるんですけどー」


ベル「なんだよ?俺的には、お前が俺を起こしに来た事の方が疑問だぜ?」


フラン「それはのちのち話しますー、今はミーの質問に答えてください―い」

ベル「あ?」

フラン「・・・うさぎって誰ですかー?」

ベル「!」


フラン「ベル先輩、超うなされてたんですよー?
ずっとうさぎさん、って人の名前を叫んでたんですよ?

隣の部屋のミーはうるさくておこしに来ちゃいましたー」


外を見れば明け方。

朝焼けが切れにカーテンの隙間から差し込んでいた。



ベル「・・・なんでもねーよ」


フラン「それは嘘ですよねー。」


ベル「なんでだよ!!」


フラン「だってベル先輩・・・



























泣いてますよ?」








ベル「!」



フラン「気づいてないんですか?」


ベルははっと自分の頬に触れると

そこには確かにベルの涙・・・



フラン「ベル先輩も一応は人間なんですねー
ミーびっくりですー。

その様子だと、わけありみたいですねー」




フランは興味なさそうに言いながらも
ベルに冷えた水を差し出していた。



ベル「・・・あれは、多分10何年も前だよ。」

フラン「・・・?」

ベル「・・・そのうさぎってのは俺が殺した。」


フラン「・・・そうなんですかー」




それからベルはフランにうさぎの事を話した。


何もかもを・・・


フラン「で、何でミーに話すんですか?
堕王子にしては、ずいぶんとおしゃべりですね」


ベル「さぁな。話してすっきりしたかったってのもあるんじゃねーの?」


フラン「・・・で、ベル先輩はすっきりしたんですか?」


ベル「・・・ししっ、それ以上聞くなって。
お前燃やすぞ?」


フラン「お、堕王子復活ー。ミーはこれで失礼しますー」


フランはベルの心を察したのか、

それだけ言うとベルの部屋を立ち去ってしまった。










ベル「すっきりするわけねーじゃん」







 
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