楽しきゃいいんです

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「着いたんどー」


来てしまった。


結局2人で来てしまった。


どうすんの、下手したらうちらも遅刻じゃんよ。


木手くんに吊るされるじゃんよ。


朝から怒るよあの紅芋が!!


「…聞いてるんばぁ?」


「ひ、ひーへふはらほっへはひっはんほはへへふへはいはは?(き、聞いてるからほっぺたひっぱんの止めてくれないかな?)」


何ナチュラルにやってんのかな。



「…じゃあ取り敢えず、チャイム鳴らしてみるよ」


「おう」


ぴんぽーん


「…」


「…」


これマジで1人で良かったよね。


コイツ(平古場くん)来る意味本当にあったのかね。


「…ぬーがよ」


「別に」


よし、これでオカンに怒られたらすべて平古場くんのせいにしようそうしよう。


「…」


「…」


「…出ないね」


「朝早いんやっしー…仕方ないさー」



こんな時間に押しかけて来られたら、良い迷惑だろうなぁ…。


甲斐家の皆様、どうもごめんなさい。



ガチャ



「「お」」


「たーやいびーん……って、あ」



甲斐くん出てきた。


けど、今の今まで寝てただろこいつ。


髪が普段以上にボサボサな上にTシャツハーパンって。


寝起きか!


そうか寝起きだもんな!


うちもゆっくり寝たかったっての!


「り、凛…涼音…!?」


ようやく覚醒してきたのか甲斐くんビックリしてる。


「やっぱ寝てたのか、裕次郎」


「羨ましいぞチクショー」


「ちょっ…やったー(お前ら)ぬー(何)しとるんばぁ…!?こんな所で…!?」


「何って、甲斐くん迎えに来たやんなー」


「おう」


「む、迎え?」


「平古場くんに聞けば、キミよく遅刻すると言うじゃないか。だから迎えに来たのさ」


うちが朝早く叩き起こされたのに甲斐くんはゆっくり寝てるなんて許さないからな。

何度も言うが。


「やっぱ寝てたんばぁ?今まで」


「…うー」


やっぱりか。コンチクショウ。


「ずるいぞ甲斐くんめ。うちだってゆっくり寝たかったんだからな!」


「やーも遅刻する気かよ」


遅刻じゃない、朝練に出たくないだけだ。


「とにかく、さっさと準備するさー裕次郎。ちゅー(今日)はちゃんと朝練行くんどー」


「…分かったさー」


平古場くんの言葉に、甲斐くんは渋々と戻ってった。




なんか兄弟みたいだなこいつら。

でもこんな手間かかる弟いらねぇ。

こんな何考えてるか分からない兄いらねぇ。
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