楽しきゃいいんです
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とりあえずその場では説教はされずに済んでほっとした。
もっとめっさ怒られるかと思った。
校庭に植えられている木に逆さまに吊るされて鼻から牛乳でも飲まされるかと思った。
木手くんのことだからゴーヤジュースか。
どこぞの拷問だ。
まあゴーヤDXも嫌だけどさ!
…で、今にいたる。
本当は先生が簡単な授業をする予定だったけど、急遽入った出張で大量のプリント片付けることが補習になった。
それはそれで面倒くさい。
目の前にはもっさりとプリント。
ひー、やる気起きねー。
それに。
「…甲斐くんよー」
「うー?」
「先生いないからって黒板に落書きすんのやめようよ」
最近、彼が本当に子どもにしか見えない。
いや子どもだけど。
「別に良いやっしー。まだ部活終わるまでには時間あるだろー」
「おいおい、部活終了ギリまでやってるつもりですか。やだようち、ゴーヤDX食うの。早くやって早く部活行こうよ」
「なあなあ、これやーに似てね?」
「ねえうちの話聞いてる?」
ついでに言うがうちの顔はそんな単純な丸だけじゃ出来ねえぞ。
「というか甲斐くん、プリント進んでんの?」
「…まーなー」
「嘘つくなよ」
目が泳いでるぜ。
そして何よりプリントが真っ白。
見え透いた嘘は止めたまえ。
「プリント全部終わらせないと帰れないって先生言ってたじゃんー…。ま、いいか。うちの分さっさと終わらせて部活行けばいいし」
何も甲斐くんを待ってる必要なんかないんだし。
待ってようとしてた自分がアホみたいだ。
「あらん!」
「!?な、なんで」
急に声張り上げんな、心臓に悪い。
「一緒に終わらせて一緒に部活行くんどー!」
「は、はぁ?何でさ」
そんなに一緒したいって、うちどんだけ気に入られてんn「わんの分のプリントもやーが片付けるんやっしー!わんの代わりに」
「なんでやねん!」
そっちかよ!
自 分 で や れ よっ!