楽しきゃいいんです

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有無を言う間もなく、本当に沖縄に来てしまった。

転勤っていうか飛ばされたんじゃ………っていう意見は飲み込んだ。

まあ前の学校に大して未練もないし、あんま深く考えないで置こう。

むしろ沖縄に来たことが初めてだったから人生初の沖縄じゃね!?って楽しむことにしよう。

うちはもちろん転校するんだけど、色々手続きがあるらしく学校は今度の月曜かららしい。

それまではただの観光客として沖縄を満喫出来るから満足だ。







「涼音、部屋片付いた?」


引っ越し業者の人も帰って行って、ようやく引っ越し作業も落ち着いた頃。

新しい自分の部屋の新しい自分のベッドに横になってたら母ちゃんが来た。


「ん?あ―……母ちゃんは片付いてないと思うかもしれないが、うち的には片付けました」

「何それ」

「ほら、人の「片付いた」って観念なんて様々だもの。とりあえず片付けたよ!」


床に服が散らばっててもダンボールが出しっぱなしでも片付いたと言うんだよ。


「…まあ、涼音が言うなら良いけど。時間があるならちょっと行って来たら?」

「……どこに?」

「あんたの学校。当日いきなりなんて嫌でしょ?チラッとでも見て来なさい」

「え。めんど「はい地図。いってらっしゃい」



バタン。




母ちゃんは意見は一切聞かず、うちをぽーいっとゴミ箱にゴミを放るかのごとく外へ追い出した。

いきなりだなぁオイ。


「…なんでやねん」


…でもまあ、やることもないからとりあえず行くだけ行ってみようか…。


渡された地図に目をやると、丁寧にペンで印を付けてくれている。

ここがうちが行く学校か。

『比嘉中学校』と名前が付いている。


「………ひ?…ひ……ひ、何とか中学校……なんだったっけ…忘れた」


転校の話をされた時にも読めずに読み方を教わったのだが、見事に忘れてしまっている。

相変わらず記憶力ないな自分。


「ま、帰ったらまた聞けばいいか」





楽天的に考えながら、暑く陽が照る道を歩き出した。
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