楽しきゃいいんです
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乱雑に砂浜に放り投げておきながら、うちに対して気も遣わず何故かきょろきょろと何かを探す仕草をしている金髪野郎。
まず謝れや!
「ちょ………、ね、ねえ」
「えーしろー!えーしろー!マネージャー連れてきたさぁ!!」
「は?…マネ……?」
なんだその単語。
うちには無縁の言葉過ぎて反応出来ないのだけど。
「うるさいよ、平古場クン。練習サボって一体何処に行って………誰ですか、彼女は」
「え?……っ!?」
ぎゃあああぁ!!
な、なんか金髪に呼ばれてこっち寄って来た人、すんげー怖いんだけど!?
なにあれなにあれ、り、リーゼント!?
彼はリーゼント部類ですか?
それともコロネですか!?
沖縄だからむしろ紅芋タルトに分類されるんですか!!?
「校門の所で落ちてたから拾ったさぁ」
ちょっ、うちは落ちてた覚えはないんですが!
拉致されたんですがね、この金髪野郎に!
…え、てか気付いたら人いっぱいいるんだけど。
みんな泳いだりしてるから、注目はされてないから良いけどさ!
なにこの集団。
海水浴にでも来てるのか?
「はあ…落ちてたからって勝手に拾ってくる人がいますか。…それに彼女は沖縄の人じゃないでしょ。何勝手に連れて来てるんですか。戻してきなさいよ」
え、なにコイツ。
お母さん?というかむしろオカン?
一瞬オカンオーラが見えた気がする。
『うちでは猫は飼えないって言ってるでしょ。元の場所に戻してきなさい!』と同じテンションで言ってる。
てかうちは物ではないんですが!
「はあ?何でよ。忙しいからマネージャーでも連れてこいってあびてた(言ってた)のはやーやっし」
「誰が連れて来いと言いましたか。…そろそろマネージャーの事を考えなければ、と言ったまでです」
「え…」
「先走るのも甚だしいですね。…マネージャーを連れて来いと言ったとして、彼女は本土の人なら我々の学校の人でもない。そんな人をマネージャーにする気なんですか?」
「……あ」
「どうせそんなだから彼女の名前も知らないんでしょ」
「…名前……?」
「え、あ、涼音…神矢涼音と申します……」
わからん、言葉はわからんけどっ…!!
なんか金髪が紅芋タルトに説教されてる感じだ!
紅芋こっえぇ―!
「全く、平古場クンは計画性が一切ないですね」
「え、永四郎…」
「うるさいよ。少し黙っててください」
「………わっさん……」
うっわぁ…可哀想…。
まあ自業自得だがな!