楽しきゃいいんです
□4
3ページ/6ページ
で、今に至る。
オカンに逆らえない(絶対オカン制度の)せいか、ちゃんと送ってってくれるみたいだけど……顔はなんかすごい不満丸出し。
うちを拾ってマネージャーにした元凶、こいつなのに。
こいつが学校でうちを捕まえずにスルーしときゃ、うちもマネージャーにならなくて済んだし平古場くん本人もこうイラつかなくても済んだろうに。
あ、思い出したらだんだんムカついてきた。
「……平古場くん」
「……………ぬーがよ(何だよ)」
「ばかやろう。」
「ばっ…!?いきなりぬーがよ!?」
「あんたがうちを勝手に担いで行かなきゃこんなややこしいことならなかったんだからね。マネージャーとか、オカンとかオカンとかオカンとか。どうしてくれんの」
「うっ………!や、やーもマネージャーやりたいって言っただろ!」
「オカンの圧力で言わされてただけだし!オカンもはっきり言ったけどぶっちゃけ雑用係なんだよね。なんで沖縄に来てまでわざわざ雑用しなきゃなんないの!返せようちの幸せ沖縄ライフ!」
「…マネージャーしなかったところで、幸せに過ごせるとは言えないけどな」
ぐっさ。
このやろう、痛いとこ突きやがって。
「……幸せに決まってるじゃん。雑用しなくていいんだし」
「やーの幸せの基準は雑用があるかないかなのかよ」
めんどくさいことは嫌いなんです。
「……まあ、少なくともマネージャーするって決めて得はあるさぁ」
「は?得?」
下っ端心が付くとか言ったらぶっ飛ばしてやる。
「転校する前から知ってる奴がたくさん出来たさぁ。…分からんことあったらわったーに聞けばいいんやっし」
「え……」
そこはあえての『知ってる奴』なんだ。
友達とか言ってくれないんだ。
別に構わんけど。
「ぬ…ぬーやが(何だよ)、うぬ呆れたちら(顔)は」
睨まれた。
「あ、呆れてなんかないよ。いや……でもまあ、なんか嬉しい。そう言ってくれると。ありがとう」
事実、丸腰で転校すんのは怖かったしね。
(※決して戦争に行くのではありません)
先にこうして話せる人が出来たのはマジでありがたいことなのかも。
うち人見知りだし。
「お…おう」
「でも雑用になったことはやっぱ気に食わない」
「根に持ち過ぎだろ…」
引きずる子なんです。